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コラム・ブックレビュー
広島在住のジャーナリストによる “書評”コーナー!
「書物の魅力」を 月1回のペースでお届けします。

池上彰の宗教がわかれば世界が見える
池上彰著(文春文庫・800円+税)

個人的なことから言えば、私はクリスチャンだ。毎週、安息日の土曜日には教会で礼拝をしている。宗教については関心が高い。そして、分からないことも多い。その疑問に答えてくれるのが本書である。

いま、宗教への関心が高まっている。なぜかというと、ひとつには、団塊の世代がいよいよ身近に「死」の準備をする時期になったと感じ始めたからという。自分の最期の迎え方や、葬式や墓をどうするか気になり出したのである。そうして、死の意味を考えるとき、宗教に関心を持つのは自然だ、と池上さんは記す。団塊の世代である私には、非常に分かりやすい。

国際ニュースには、宗教が背後にからむ問題がたくさん出てくる。例えば、中東情勢はイスラム教を知らなければ理解できない。アメリカの政治についても、アメリカが強烈なキリスト教国家だと分かっていないと理解できない。逆にいえば、宗教が分かれば世界が見えるのである。

池上さんは、仏教、キリスト教、イスラム教など宗教各界7人にインタビューして世界を正しく理解するために宗教を読み解く。島田裕巳(宗教学者)、釈徹宗(浄土真宗本願寺派如来寺住職)、高橋卓志(臨済宗神宮寺住職)、山形孝夫(宮城学院大名誉教授)、安蘇谷正彦(國學院大前学長)、飯塚正人(東京外大教授)、養老孟司(団塊の世代である私には、非常に分かりやすい説明だ。解剖学者)の各氏。

島田さんの著した「葬式は、要らない」が話題になっている。葬式をしないでそのまま火葬場に行く「直葬」や「家族葬」が増えているようだ。葬儀での分からないお経、戒名にカネがかかるなど疑問は多い。ただ、内輪で葬儀をすると、葬式に行きたかったのに、という人たちが結構いる。せめてお焼香や墓参りをということになって、葬式をしないことがかえって面倒になる例もある。

正月に神社にお参りし、クリスマスを祝い、葬式は仏式という日本人は「無宗教」ではないかといわれる。だが、日本人は神仏に対して何らかの形で祈りを捧げたり参拝に行ったりすることを自然にやっている。宗教が自然に根付いている国だ、という見方も示される。宗教はやはり奥が深い。

【ジャーナリスト 枡田勲 1201/3/7】


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