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株式会社 廣文館
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コラム・ブックレビュー
広島在住のジャーナリストによる “書評”コーナー!
「書物の魅力」を 月1回のペースでお届けします。

下町ロケット
池井戸潤著(小学館・1700円+税)

2013年の流行語大賞は、4つの言葉が選ばれた。「今でしょう」「じぇじぇじぇ」「お・も・て・な・し」ともう一つが「倍返し」である。40%を超える視聴率を記録したテレビドラマ「半沢直樹」の中の決め台詞として、よく知られている。ドラマの原作者はこの本の著者である。

銀行マンを描いたドラマは、なかなか面白かった。その著者の名前につられて衝動買いしたのがこの本である。だが、「下町ロケット」というタイトルにあまり興味をそそられず、しばらく机の上に積んでいた。そして何気なく手に取って読み始めたら、止まらなくなってしまった。直木賞受賞作というのもうなずける。読んでみて、タイトルも納得した。

主人公の佃航平は、宇宙工学研究の道をあきらめて、東京・大田区の実家である佃製作所を継いでいる。町工場の経営は順調だったが、突然の取引停止、大企業の「魔の手」が伸びて特許侵害の疑いで訴えられる。倒産の危機にさらされるが、町工場の技術と情熱を燃やしてロケットエンジンの供給に挑む。

「その部品がなければロケットは飛ばない」。ロケットエンジンの開発は、町工場の大企業に対抗する意地でもあった。一度あきらめた大宇宙への夢を、再び描く佃航平と、彼を支える男たちの熱き思いを紡いだドラマが展開される。

混沌として閉塞感のある日本社会で、多くの人たちに夢と希望を与える作品である。読後感のこれほど爽やかな書を、最近は知らない。文句なしにお勧めしたい。

【ジャーナリスト 枡田勲 2014/1/6】


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