廣文館廣文館

廣文館

店舗ごあんない
本を探す【e-hon】
本を注文するには
お買い得の本
ひろしまの本

HON-TOカード
コラム・ブックレビュー
スタッフ募集
お役立ちリンク集
会社概要
IR情報
HOME


株式会社 廣文館
〒730-0035
広島市中区本通り1-11
TEL:082-248-2391 
FAX:082-248-2393
E-mail:info@kobunkan.com
コラム・ブックレビュー
広島在住のジャーナリストによる “書評”コーナー!
「書物の魅力」を 月1回のペースでお届けします。

日本文化としての将棋 / 尾本惠一編 著
(三元社・2,400円)

 先月、朝日新聞に「囲碁と将棋を比べてみれば」という記事が出ていた。「お金をつぎ込むのは?」、「ギャンブル性は?」、「女性にやさしいのは?」の三つの疑問を専門家に投げかけて、ゲームの違いを浮かび上がらせている。

 結論から言うと、お金をつぎ込むのはは囲碁、ギャンブル性は同じくらい、女性にやさしいのは囲碁、ということになろうか。私は、囲碁、将棋とも好きで、日曜日、NHK教育の両方を見るのが楽しみだ。将棋の終盤の迫力にしびれ、囲碁の序盤の想像力に感心している。

 「お金をつぎ込むには?」の質問には、この本の編者、尾本惠一さんが答えている。囲碁のルーツは中国とされ、8世紀の奈良時代の文物を納めた正倉院の宝物の中には、立派な碁盤があるが、将棋の盤や駒はない。将棋のルーツはナゾだが、平安時代以来、日本で独自の発達をとげた―と尾本さんは書いている。つまり、囲碁や麻雀は日本で改良されたかもしれないが、外来文化としての原型が保たれている。その点、将棋は日本の伝統的な文化にふさわしい、という。

 この本は、人類学者で将棋ファンの尾本さんが「将棋学」設立の手引書としてまとめたものである。数学者をはじめ、考古学、歴史の専門家、羽生善治ら数人の棋士も寄稿している。「将棋とチェスの比較論」(旦代晃一さん)、「賭けと日本人」(谷岡一郎さん)などの考察はなかなか興味深い。

 尾本さんは、将棋は多方面からの学際的研究に値する。価値の多様化や規制緩和が叫ばれる今日、学問に遊び心を取り入れるためにも将棋学が提唱されてよい。バランスの取れた知能を発達させ、日本文化の良い面である礼儀やフェアプレー精神が自然に身につく、と強調する。全く同感である。

 もう一つ言えば、とにかく面白い知的ゲームである。将棋を知れば世界が広がる、とも言えようか。テレビゲームより、囲碁、将棋をお勧めしたい。

【ジャーナリスト・枡田勲/2003.03.04 】


▲ページトップ back

Copyright(C)2005 KOBUNKAN.All rights Reserved.