発行部数が100万部を突破したそうである。自己啓発本としては異例のヒットという。本を手にした時「こんな本がなぜ?」と正直なところ、そう思った。5分間とはいわないが、あっという間に読み終えることができる。中身も極めて分かりやすく、簡単である。悪くいえば安っぽい。逆に、そこがヒットの秘密なのだろう。
「だらだら地獄を、抜け出すには?」といわれたら、つい自分のことをいわれているようで、「どうしたらいいのか」と思ってしまう。その答えが「脱いだ靴はそろえる」「処分したい新聞、雑誌は、中身を見ずにさっと束ねる」「冷蔵庫を片付ける」「自分からあいさつする」「鏡の前で5分間笑う」などなど。生活の中で誰にでもできる「自己改革法」が60項目並ぶ。それも、4コマ漫画とイラスト、ユーモアたっぷりの短い文章で紹介している。
きっと、著者はぐうたらで、だらだら地獄から抜け出るのに、苦労したのではないか、と親近感を覚える。これなら、自分もできるか、という内容なのがいい。早速、「脱いだ靴はそろえる」を実践することにした。
著者は1級建築士で、建設会社勤務を経てイラストレーターに。小学生2人の母でもある。東京生まれの横浜育ちだが、夫の転勤で宇部市に住む。人間関係に悩み、人に会うのが嫌になり、自分を嫌いになったことがある。だらだらしていたが、このままではいけない、自分を変えようと思った。できることを一つずつしよう、と思ったのが出版のきっかけになった、と毎日新聞のインタビューで話している。
本の表紙に、天高くコブシを突き上げる姿勢「テンコブポーズ」がイラストで描かれている。このポーズをとれば、シャキーンとすること請け合いだ。肩の力を抜いて、やってみようか。
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