サッカーのワールドカップ(W杯)はイタリアの優勝で幕を閉じた。イタリアとフランスの決勝戦、ジダンのラストダンスは頭突きというハプニング。それでもMVPを獲得して、W杯ドイツ大会は「ジダンの大会」だった。
ところで、わがサムライブルー。1次リーグで2敗1分の最下位になり、決勝トーナメントに進めなかった。マスコミ、とりわけテレビが視聴率を上げるためにあおった感じは否めない。まさに「過剰期待、過剰落胆」である。4−1で敗れたブラジル戦を見れば、実力の違いは歴然としていた。
ジーコジャパンの後を継いで、ジェフ千葉の監督から日本代表監督への就任が内定しているイビツァ・オシム氏(65)は、インタビューでこう語っている。「世界一になりたいんだった、別の監督を探してほしい。現実を認めることが大事」と。
旧ユーゴのサラエボ出身で、故郷を戦争に引き裂かれた体験を持つ。世界各地のクラブチームの指揮を執り、実績を残してきたオシム氏の言葉は含蓄がある。
「君たちはプロだ。休むのは引退してからで十分だ」
「ライオンに追われたウサギが逃げ出す時に、肉離れをしますか?準備が足らないのです」
「作り上げることは難しい。でも、作り上げることのほうがいい人生だと思いませんか?」
「どこで何が起こるかわからないもの!人生とはいつも危険と隣合わせだ。サッカーも同じだ」
ユーモアに包まれながらも真理を突くその言葉は「オシム語録」と言われる。オシムジャパンは派手さこそないが、きっといい日本代表になるだろう。この本を読むと、そんな確信がわいてくる。 |