廣文館廣文館

廣文館

店舗ごあんない
本を探す【e-hon】
本を注文するには
お買い得の本
ひろしまの本

HON-TOカード
コラム・ブックレビュー
スタッフ募集
お役立ちリンク集
会社概要
IR情報
HOME


株式会社 廣文館
〒730-0035
広島市中区本通り1-11
TEL:082-248-2391 
FAX:082-248-2393
E-mail:info@kobunkan.com
コラム・ブックレビュー
広島在住のジャーナリストによる “書評”コーナー!
「書物の魅力」を 月1回のペースでお届けします。

一字一会
「週刊金曜日」編集部編(金曜日・2400円)

 サブタイトルに「いま、何か一つだけ、字を書くとしたら?」とある。そう問いかけられたら、考え込んでしまう。

 本書は「週刊金曜日」に連載された「一字一会」を中心に構成。百人が選んだ究極の「一字」である。その百人とは、作家、詩人、漫画家、俳優、歌手…とあらゆるジャンルの人が「一字」とその理由を語っている。

 辛口評論家の佐高信さんは「野」。「野人は私は好きである。在野もいい」という。俳人の金子兜太さんは「土はいのちの根源」で「土」。写真家の荒木経惟さんは「女」。俳優の小沢昭一さんは「楽」。作家の安部譲二さんは「怒」。それぞれ納得する。

 この本に「一字」が収められているが、エッセイストで作家の米原万里さんと社会学者の鶴見和子さんの2人は、今年亡くなっている。

 米原さんの一字は「坂」。「登るときには希望があって、降りるときには…勇気がいる。まっすぐで平坦な道は退屈だ。わたしは起伏にとんだ道が好き」と記している。

 前々回のこの欄で米原さんの「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」を取り上げた。その中でも「坂」を紹介している。卵巣がんと壮絶な闘病の末、5月に56歳で逝った米原さんらしい遺言の一字である。

   8月に88歳で亡くなった鶴見さんの一字は「命」。「すべての生きものの命を奪うのが戦争である。とりわけ核戦争は、命の根源である地球を破壊する」と書き残している。
日本漢字能力検定協会の2006年「今年の漢字」が「命」だった。これも何かの因縁だろう。
【ジャーナリスト・枡田勲/2006.12.20】


▲ページトップ back

Copyright(C)2005 KOBUNKAN.All rights Reserved.