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株式会社 廣文館
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コラム・ブックレビュー
広島在住のジャーナリストによる “書評”コーナー!
「書物の魅力」を 月1回のペースでお届けします。

ゲゲゲの女房
武良布枝著 (実業之日本社・1200円)

NHKの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が放映中である。その原作が、漫画家水木しげるさんの奥さん、武良布枝さんの同名の著書である。

「ゲゲゲの鬼太郎」で一生を風靡する知られる水木しげるさんを、妻の立場から見てつづった作品だ。貸本漫画家時代の極貧生活は、テレビの画面からも伝わってきた。妖怪など一風変わった作品は、なかなか世間から受け入れられなかった。それでも、生来の明るさ、おおらかさを失わない水木さんの姿が、エピソードを交えて描かれている。

素直なタッチで読みやすい。一気に読みきった。ほんわかとした読後感が残るのは、水木夫婦の仲のよさがにじんでいるからだろうか。

水木さんは鳥取県境港市、布枝さんは島根県安来市の出身である。境港は全国に知られた人気の観光地になっているが、NHKの放映で安来市の布枝さん生家まで観光客でにぎわっているそうだ。

私もこの春、境港を訪れた。水木しげるロードの妖怪ブロンズ像を見て歩き、水木しげる記念館で沢山の妖怪に出会った。妖怪はちょっと怖いが、なかなか楽しい。商店街は妖怪に関係した食べ物や土産物であふれていた。妖怪本、JR境港線の「妖怪路線化」、妖怪そっくりコンテスト、妖怪検定、妖怪川柳コンテスト、妖怪人気投票、妖怪ソング…。次々と打ち出されるイベントで、いまや境港は年間170万人の観光客が訪れる鳥取県一の観光地になっている。

 実は、私の兄(桝田知身)が水木しげる記念館の前館長で、境港観光協会の会長をしている。妖怪による町おこしの「仕掛け人」としても有名だ。町おこしの実情は、兄が最近著した「水木しげるロード熱闘記」(境港観光協会発行)に詳しい。「ゲゲゲの女房」と合わせて読むと、興味が深まる。

【ジャーナリスト 枡田勲 2010/7/6】


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