還暦の年齢になると、何かしら病気を持つようになるものだ。筆者も3年前から「関節リュウマチ」にかかり、治療を受けている。当初、手足の関節が不自由になり、原因不明で苦しんだ。病名が分かるまで検査、検査の連続。やっと病名が分かって治療を始め、劇的に回復した。
肩やひざの痛みを訴え、最初に飛び込んだのは整形外科だった。その整形外科で、腰痛を治す手法として「AKA博田法」と施しているのを知った。AKAは「関節運動学的アプローチ」の英語頭文字で、関節の遊び、すべりなど関節内の運動をよくする技術。元国立大阪病院の理学診療科医長の博田節夫さんが開発した。背骨の重みを支える仙骨と、両側の腸骨をつなぐ関節を動かして治す手法がAKA博田法だ。そこで、理学療法士にこの治療をほどこしてもらった。
この本には「腰痛を治す奇跡の手法『AKA博田法』」として紹介されている。このほかに、「心臓移植患者が『和温療法』で次々と改善」、「がんを切らずに治す『ピンポイント照射』」、「糖尿病を治す『糖質制限食』」、「体の不調を『かみ合わせ』で治す」「新型インフルエンザも『漢方』で治る」など14の治療法が掲載されている。
筆者は朝日新聞の医療専門記者として40年勤め、「日本の医療は質を考慮していない」と痛感した。この本に登場している医師の多くは、現在の学会中心の医療界から外れている。そのため正当に認められないばかりか、冷遇され、抑圧され気味という。
現在の医師は、忙しすぎることも一因だが、ほとんどの医師は他の領域の最新知識どころか、自分の得意分野ですら、他の病院の治療をしらないことが多々ある、と筆者は指摘する。最新の医療を患者だけでなく、医師にも知らせるのがジャーナリストの役目と信じて、本書を上梓した。
西洋医学だけでなく、漢方治療についても「漢方再興」として紹介されている。長年、治りにくい病気に苦しんでいる患者さんに、ぜひ読んでもらいたい一冊である。
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