「幸せですか?」と問われたら、あなたはどう答えますか。自分は幸せなのか、それとも不幸なのか。「幸せ」とはいったいなんなのだろう。どのようにして決めているのだろう、と次々疑問がわいてくる。
そんな思いに答えてくれるのが本書である。幸せは人によって、国によって、さらに住む土地によって異なる。つまり、人それぞれ幸せは違うということである。一言で幸せといっても、その内容は多彩で、変化に富んでいる。初めにこの事実をしっかりと胸にとどめておくように、と著者は言う。
その一。幸、不幸の判断は他者と比べないこと。些細な、取るに足らないことに、幸せを感じることができるかどうか。大それて事ではなくて、探せばごく身近に小さな幸せが潜んでいる。
そのニ。「あなたの身体には、無数の幸せが、気づかれずにゴロゴロ転がっている」。著者は医師でもある。その視点から説く。例えば、水を飲んで小水を出す。その過程で、腎臓は流れ込んできた血液の中から水分を抜き取り、尿管はその水分を膀胱に運び、膀胱はそれを一定の量まで貯めて、頃合いを見て尿道から排泄する。数えきれないほどの細胞が、定められた役目に添って、懸命に働いている。どこか一つでも故障したら、たちまち尿は詰まり、出なくなる。その仕組みを知れば、気持ちよく小水をすることだけで「幸せ」と思わずにはおれない。
その三。善し悪しは表裏一体である。例えば結婚。「安らぎの場を得るかわりにエロスが失われていく形態でもある。それはある意味メリットであり、同時にデメリットでもある。この両者をどう受け止め、どう納得していくかによって幸せ感も変わる」
その四、その五、その六…はこの本を読んでもらいたい。いたるところに幸せを感じるヒントがちりばめられている。「今の自分ができる、自分らしい生き方をして、常に前向きに明るく生きていく。幸せという青い鳥は、その先で羽ばたいて待っている」と締めくくる。
平凡でもいい。ささやかな出来事、何気なく行い、できること、に感謝しよう。気持ちの持ちようで、幸せはいくらでも転がっているのである。そう思うと、なんだか幸せな感じになってくる。
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