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株式会社 廣文館
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コラム・ブックレビュー
広島在住のジャーナリストによる “書評”コーナー!
「書物の魅力」を 月1回のペースでお届けします。

空の中
有川浩著(角川文庫・705円+税)

名前が知られているのに、作品を読んでいない作家がまだまだいる。この著者もその一人だった。図書館戦争シリーズでブレイクし、映画にもなっている。初めて読む作家の作品は、いつもドキドキしながら読み始める。期待を裏切らないものだったら、その著者の作品を次々探すのがいつもの例である。

もちろん、思ったほどでなかったら次はない。人それぞれ好みがあるので仕方がないと思う。ただ、売れっ子作家には、それだけの理由があるから売れているので、すっかりファンになってしまうことが多い。有川浩もそういった作家の一人になった。

物語は、高知県沖の高度2万メートル上空で、謎の航空機事故が相次ぐところから始まる。生き残った自衛隊の女性パイロット、武田光稀3尉と事故調査委員会の春名高巳が調査のために高空に飛び、秘密を見つける。

一方、地上では事故死した自衛隊パイロットの息子、斉木瞬と幼なじみの天野佳江が不思議な生物を拾い「フェイク」と名付ける。この2組の秘密が出会い、人類の危機が降りかかる奇想天外な展開となる。「未曽有のスペクタルエンタテイメント!」と表紙裏に書かれているうたい文句そのものだ。

大人と子どもの2組それぞれのキャラクターが、良く描かれている。そして2組の恋愛物語でもある。532ページの厚さもある文庫本だが、一気に読ませてくれた。その中で、とりわけ気に入ったのは、高知・仁淀川の川漁師の「宮じい」だ。瞬の祖父と懇意で瞬を暖かく見守りながら、大事なところで大きな存在になる。その人柄と高知弁が何ともいえない味がある。方言って本当にいいとあらためて感じた。

ライトノベルで売り出した作家らしく、子どもが読んでも大人がよんでも楽しめるものになっている。陸上自衛隊を扱った「塩の街」、海上自衛隊の「海の底」の自衛隊3部作の2作目が航空自衛隊の「空の中」である。当然のごとく他の2作品も近々読みたいと思っている。

【ジャーナリスト 枡田勲 2015/2/16】


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