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株式会社 廣文館
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コラム・ブックレビュー
広島在住のジャーナリストによる “書評”コーナー!
「書物の魅力」を 月1回のペースでお届けします。

日曜俳句入門
吉竹純著(岩波新書 820円+税)

テレビ番組「プレバト!!」をよく観ている。昔からの俳句ファンということもあるが、俳人・夏井いつき先生の添削や“毒舌”、梅沢富美男さんとのバトルも、痛快で面白い。この番組が全国的な俳句ブームを牽引しているようだ。

俳句好きといっても、いざ作るとなると難しいものだ。何度か試みたが続かなかった。何十年も前に親友2人で紀伊半島に旅行した時、一句ひねった。「友ありて椿の香り潮岬」。われながら駄作だと思う。文章が上手になるためには、沢山の文章を読んで、沢山文章を書くことだ。俳句についても同じことが言えるのではないか。

昨今の俳句ブームに刺激されて、俳句作りをしてみようか、という気持ちになった。そんな時に、書店で見つけたのがこの本である。著者は電通に勤めていたコピーライターだ。俳句愛好家で新聞各紙をはじめ雑誌、テレビなどのメディアに投句し続け、多くの句が入選して掲載されている。例えば、2008年の読売俳壇で年間秀句に選ばれた「すろうりい歌会始すろうりい」。2003年の朝日俳壇入選句「わたくしがもう一人ゐる冬夜汽車」。

著者の句で最初に活字になったのは、2000年に会社を早期退職する時の挨拶状。「暗闇へ問う人ぞなき渡り鳥」という句を添えた。それが契機となってメディアへの投句を始めたという。著者はプロの俳人ではない。それだけに、投句者の目線で日曜俳句を楽しむポイントや注意点を記しているのが、素人には分かりやすくていい。

「右も左もわからなくても、五・七・五なら、かんたん。とにかく、つくる。おっと、歳時記だけは忘れずに」。こんな調子で、自作の入選句や選者の話も織り込みながら興味深く読ませる。著者はメディアなどへの投句を端的に表す言葉がなかったので、思いついたのが「日曜俳句」だという。「日曜大工」と類似性がある、といえばイメージが浮かぶだろう。さすがコピーライターだ。

書店には、俳句の作り方のコツを解説した本があふれている。だが、新聞俳句などへの投句の仕方や楽しみ方を説明してくれる本がこれまでなかった。主なメディア、公募俳句大会の投句規定一覧も付いている。あなたも一句ひねってメディアに応募してみてはいかが。

【ジャーナリスト 枡田勲 2020/5/27】


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