「孫にどんな絵本がいいのか」と考えながら書店の絵本コーナーをのぞいた。真っ先に目に入ったのが、ヨシタケシンスケさんの絵本だ。パラパラよめくりながら買ってきたのがこの一冊である。
ぼくは ハナを ほじる クセが ある。おかあさんに いつも おこられる。 りゆうは、「おぎょうぎが わるいから」だって。
こんな書き出しで始まる。なにか理由をつけたい、と考えたのが「ぼくの ハナの おくには スイッテが ついている」だった。次は、ツメをかんでいることを注意され、「おとなには きこえない おとを だしているんだ」と理由をつける。そして、次々と注意されるたびに、思わず笑ってしまうような“屁理屈”を考え出す。
クセとその理由について子どもと母親がやりある。そして、「おとなだって ついやっちゃうことって あるでしょう?」と子どもからの反論に、母親も髪をいじるクセを認め、苦しい理由をつける。親子のやりとりと、ほのぼのとしたイラストに思わずクスリと笑ってしまう。一つの考え方も人それぞれ異なった理由がある、という考え方の多様性を考えさせてくれる。子どもは親のことを、見ていないようでよく見ている、ということもうなづかせてくれる。
イラストレーターの吉竹伸介さんの初のオリジナル絵本作品は、2013年の「リンゴかもしれない」。筋立てのない絵本で、「ぼくのニセモノをつくるには」「このあとどうしちゃおう」と続く絵本は「発想絵本」と呼ばれている。「リンゴかもしれない」はMOE絵本屋さん大賞第一位になり、その後の作品も次々受賞している。この「りゆうがあります」もMOE絵本屋さん大賞を受賞している。
ヨシタケ作品は、お話がどんどん広がって膨らみ、センスとユーモアあふれる世界観に引き込まれてしまう。大人も読みたい絵本である。コロナ禍と猛暑の夏にこそ、こんな絵本の世界に浸ってみたいだ。今夏はコロナの影響で孫たちは帰省できなかったが、今度帰ってきたらヨシタケシンスケさんの絵本を一緒に読みたいと思う。
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