廣文館廣文館

廣文館

店舗ごあんない
本を探す【e-hon】
本を注文するには
お買い得の本
ひろしまの本

HON-TOカード
コラム・ブックレビュー
スタッフ募集
お役立ちリンク集
会社概要
IR情報
HOME


株式会社 廣文館
〒730-0035
広島市中区本通り1-11
TEL:082-248-2391 
FAX:082-248-2393
E-mail:info@kobunkan.com
コラム・ブックレビュー
広島在住のジャーナリストによる “書評”コーナー!
「書物の魅力」を 月1回のペースでお届けします。

たてがみを捨てたライオンたち
白岩玄著(集英社・1600円+税)

「直樹」。出版社編集者の30歳。出産間近の妻から専業主夫を提案され、「男は働いてこそ一人前」「母親は仕事より子を優先」という夫婦に求められがちなものとの狭間で悩む。

「慎一」。広告代理店勤務の35歳。離婚後、何をしてもむなしく感じるようになる。そして、両親が熟年離婚する問題に巻き込まれる。別れた妻や両親に対して、何かを置き忘れている思いにとらわれる。

「幸太郎」。市役所に勤める25歳。アイドルグループ“ラグドール”にはまり、「えりちょす」のオタクで、現実から逃避するように疑似恋愛している。

3人の男性視点で、家庭を「作り損ねた人」、「終えた人(父母)」、「作れずにいる人」 それぞれが抱える悩ましさが交互につづられる。最初は、3人の主人公には絡みがなくて物足りなさを覚えた。3つの短編のようで読みづらいと思っていたが、いつの間にかそれが絶妙のタイミングで新しい主人公に切り替わる感じになっていたのが不思議だ。

働き方も男女の役割も多様な時代になった。しかし、「男なんだから」「女なんだから」という呪縛から完全に解放されていない。東京オリンピック組織委会長を辞任した森喜朗氏の女性差別発言で、改めてジェンダー問題がクローズアップされているのが、現状を表している。

この小説は、男性目線から「男性の生きづらさ」をテーマにしている。その生きづらさは何から生じているのだろうか。百獣の王ライオンの雄には「たてがみ」がある。プライドの象徴だ。その「たてがみ」が生きづらさの基ではないか。本の帯には「男のプライドの新しいかたちを探す“問いかけ”の物語」とある。

かっこをうをつける「たてがみ」はもういらない。たてがみを捨てることから動き出そう、ということだろう。物語では、3人の未来が前向きで終わることにホッとする。 「男と女、夫婦、家族といっても、分かりあえないことが当たり前という考えに立ち、努力を惜しまない姿勢が必要だ。自分が正しいという主観は捨てて、相手に寄り添い向き合うことが求められている」と筆者が訴えているように思えた。私も必要のないたてがみを捨てよう、と自問している。

【ジャーナリスト 枡田勲 2021/3/11】


▲ページトップ back

Copyright(C)2005 KOBUNKAN.All rights Reserved.