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株式会社 廣文館
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コラム・ブックレビュー
広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

恥知らず
 九月、札幌市東区のスーパー「西友元町店」での返金騒動を見たとき、いつから日本はこんなに恥知らずの国になったのだろう、と嘆いた人が多かったと思う。電車の中で、携帯電話で大声で話す。平気で化粧をする。お年寄りが前に立っていても知らん顔。荷物を置いて二人分の席を取っていても平然としている。どこかしこなく地べたに座る。食べ物のかすを投げ散らす。人前でいちゃつく。傍若無人の若者があふれている。

 二十歳くらいの若者を育てたのは四十代の親、その四十代を育てたのは六十代。戦後五十七年、恥知らずの若者を拡大再生産してきた親の責任でもある。団塊の世代から恥の喪失が始まった、と指摘する識者がいる。団塊の世代が青年期に、公共の問題を考えず、自分勝手に好きなことをする誤った個人主義が定着したというのである。そう言われると、団塊世代の一人として責任を感じてしまう。

 雪印や日本ハムなどの牛肉偽装、東京電力の原発トラブル隠し、政治家は政治家で口利き疑惑や秘書給与の問題でモラルハザードを起こしている。若者の恥知らずはそんな社会の反映、と指摘されれば言葉を失ってしまう。
 北朝鮮の拉致事件で一時帰国している五人を、拉致被害者の家族と日本政府が永住帰国させようとしている。しかし、当の本人たちは北朝鮮に残した子どものことが気掛かりで心が揺れている。自殺したとされる横田めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさんの問題もからんで、先行きが見えない。

 拉致事件は現状復帰が原則、といっても二十四年の歳月が立ちはだかる。父母が拉致された日本人だと子どもに話をしていない地村さん、蓮池さん夫妻にとって、北朝鮮で生れ育った子どもを日本に永住させることができるのかどうか、考えただけでも困難な状況だ。それに、恥を失い、拝金主義が横行する今の日本が果たして子どもを永住帰国させるに足りる国かと言われれば、またまた言葉を失ってしまう。
【午睡/2002.10.29】


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