総選挙が終わって、感想をひと言といわれても、「虚脱感」としかいいようがない。選挙中に書いたので、その後始末をしておく必要があろう。
地滑り的な自民党の大勝に、当の自民党が一番びっくりしているのである。その象徴が比例代表東京ブロックの珍現象だ。自民党は8議席分を獲得したが、小選挙区で軒並み当選し、名簿搭載者が7人しかいなかったため、1議席「損」をした。その1議席は社民党に流れた。自民党の票が予想以上に伸びたためのハプニングである。
なぜこんな結果になったのか。新聞、テレビでいろいろ分析している。いわく、郵政民営化の是非だけに絞った戦略は分かりやすかった。小泉首相の唱える「改革」以外は、すべて「守旧派」のレッテルを貼られてしまい、国民は勇ましく絶叫する小泉首相に崩をうってなびいた。言い古されたが「小泉劇場」の主役に岡田民主党がけ散らかされた。見事なまでのメディア戦略。こんなあたりだろうか。
友人から、「小泉首相の唱える郵政民営化はみんな支持している」と言われて、思わず言い返した。「国民は小泉にマインドコントロールされた。ヨン様ブームと一緒だよ」と。小泉首相は傑物かもしれない。だが、やはり希代のアジテーターとしか思えない。いささか、きつい表現だが、私はあながち間違っていないと今でも思っている。
そうしたら、毎日新聞顧問の岩見隆夫さんがスポニチのコラムで「勝因は小泉様によるマインドコントロール」という趣旨を述べている。―有権者は一種の催眠術にかかったのだ。そうでなければ、公示直前に出馬を決めたズブの新人が当選するはずがない―。ベテランの政治記者から見ると、どう考えても常識では理解できない選挙だったようである。
小泉改革がいかなるものか。この後がどうなるのか。良くも悪くも、選択した国民にブーメランのように返ってくるのである。
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