「巨大な竜が動き出した」と表現したらいいのだろうか。17年ぶりに訪れた中国は、大きく変容しようとしていた。
10月下旬、中国へ出かけた。北京、西安、上海、蘇州へ9日間の旅。 日本を発ったのが22日の土曜日。小泉首相が靖国神社に参拝したのが17日だから、そんなに日が経っていない。中国人の対日感情はどうなのだろうか、と気になった。
結論からいえば、心配することは全くなかった。日中関係は経済的に深く結びついていて、ほとんど運命共同体。これまで積み重ねてきた交流の灯は、消すことができない関係になっていると痛感した。
そんな中で、気付いたことを何点か報告したい。まず、高度成長に突っ走るエネルギーを肌で感じた。人口13億人の巨大な国が、毎年10%を超える経済成長を続けている。その一つの象徴として、自動車の急激な増加を挙げることができる。つまり、日本円で200万円もする自動車を買うことができるほど、裕福になってきているということである。
人口1500万人の北京の街は、朝夕の通勤時間帯は車の大渋滞。排出ガスの規制のない車がひしめくのだから、スモッグとほこりと黄砂でどんよりとした空気に包まれていた。2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博に向けて、とにかく開発優先である。中国の威信をかけて一大プロジェクトを成功させよう、という意気込みがひしひしと伝わってきた。新しい高層ビルを建てるため、街中の古い建物が壊されている。
ただ、裕福になったといっても、都市と農村の格差は広がるばかり。農村から都市へ流れる出稼ぎ労働者の群れ。東京オリンピック、大阪万博で突っ走ったころの日本の姿を思い出す。 心配なのは、大きな目標をクリアした後である。
次回も中国の旅を続けたい。
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