5年5カ月。戦後3番目に長い小泉政権が幕を閉じる。最後の「置き土産」が8月15日、敗戦記念日の靖国神社参拝とは、お騒がせ好きな人らしいといえようか。
辛口評論家の佐高信さんが、サンデー毎日のコラムでエッセイストの米原万里さんの言葉を紹介している。
「愚鈍な森(前首相)がなし得なかった危険なことをどんどんやっている。それを支持する国民は、本当は自分たちに事が及ぶことに気づきたくないのか、鈍感なのか。政治に自分たちが参加することをあきらめて絶望しているのでしょうね。まるで他人事でも見るように、観戦する側に回っている。テレビゲームのヒーローを観戦する感覚だから、派手であればあるほどいい」
さらに、日の丸フェチや靖国フェチに人たちにこう問いかける。「そんなに自分の国を愛する気持ちに自信がないの? 日本人が自分の国を想う気持ちを、そんなに信用できないの?」と。
米原さんは、小泉純一郎首相に対して最初から厳しかった。それにしても、何と辛辣で的確なことか。
小泉政権の功罪は、もう少し時間がたたなければ見えてこない点もあるだろう。不思議なのは、これほど長期政権なのに内閣支持率が最後まで高かったことである。景気はよくなったようだが、貧富の格差が大きくなっている。医療費など各種の負担は確実に増え、「痛み」が増しているはずなのに、それでも小泉政権を支持する。これはいったい、どういうことなのだろうか。
小泉政権のメディア戦略に国民はまんまと乗せられてしまった。「小泉マインドコントロール」下から覚めたときが怖い。もう一度、米原さんの言葉をかみしめてみよう。
こんなことを書くと、「なぜ小泉批判ばかりするのか」という抗議のメールがきそうだ。いくら批判を浴びても、おかしいと思うことはおかしい、とコラムに書く。これ、なんだか小泉流みたい。 |