今、政治が面白い。そう思いませんか。
劇的な政権交代から50日ほど経った。鳩山政権は予想通り、波乱の出船である。あちこちで、障害物にぶつかり、あちこちでトラブルを起こしている。それが、面白いのである。
鳩山首相は、所信表明演説で「戦後行政の大掃除」を掲げた。政・官・業のトライアングルに象徴される自民党政治は、賞味期限が切れていた。官僚の天下りと特殊法人などにつぎ込まれる税金の無駄、年金、医療、雇用問題などに対する官僚と癒着した政権政党の無策…。
官僚主導の打破、予算組み替えによる無駄の排除、子育て支援、高速道路無料化など民主のマニフェストには大風呂敷が広げられている。官僚の抵抗を本当に打ち破ることができるのか、財源確保はできるのか。もし、できなければ期待が大きいだけに、失望も大きくなる。
郵政民営化の見直しも波乱含みだ。民営化すれば、田舎の不便な郵便局がなくなるのでは、と心配していた。残念ながらその通りになろうとしている。民営化を前提として、見直すのは当然だろう。
ただ、日本郵政社長の人事はいただけない。天下り禁止を掲げる民主党が、官僚ОBの齋藤次郎氏を社長にすえたのは、どうみても矛盾する。こうした批判を払拭するような仕事を見せてもらうしかない。
変わろうとしている一面は、衆院の予算委員会で見ることができた。政治家が自分たちの言葉でしゃべっていることだ。これまでは、官僚が野党を回って「質問取り」をし、回答も作成する。質問戦といっても、官僚の「自作自演」だった。今回は、質問項目がおおまかな内容で、がちんこの対決。おかげで、予算委のやりとりは今までと違って、なかなか興味深かった。
ただ、翌日の新聞各紙をみると、「質問側も答弁側もいまひとつ」という批判の論調が目立った。指摘はいい。だが、変わった点はもっと認めて、国会論戦をよくしていく方向にもっていくような暖かさも必要ではないか。
「大掃除」といっても、そう簡単に掃除ができるわけではない。いったいどこに向かおうとしているのか、どこにたどり着くのか、もちろんまだ見えない。心配なのは、ここで日本丸が難破すると、立ち上がれなくなってしまうのではないか、ということである。 |