エルサレムは標高800メートルの小高い丘にある。オリーブ山から望むエルサレムの市街地は、いくら眺めていても飽きない。オフホワイトの壁に囲まれたエルサレム神殿の中央に、「岩のドーム」が金色に輝く。半年過ぎた今でも、その光景がまぶたの奥に残っている。ユダヤ、キリスト、イスラム教共通の聖地エルサレムは、本当に不思議な街である。
ユダヤ教にとっては、ユダヤ王国の首都でエルサレム神殿が置かれた聖地だ。嘆きの壁は、7世紀にローマ帝国が神殿を破壊した外壁の一部である。世界のユダヤ教徒がこの嘆きの壁で祈りを捧げる。
キリスト教徒には、イエス・キリストが教えを述べ、そして処刑され、埋葬された場所だ。そこに聖墳墓教会が建つ。
イスラム教は、教祖ムハンマドが一夜のうちに昇天する旅を経験した場所。岩のドームがそことされる。
三つの宗教とも、聖書が基になる。だからエルサレムが共通の聖地になるのもあながち不思議ではない。だが、ユダヤ人の住む西エルサレムとアラブ人居住区の東エルサレムに分かれている。共存しながらも宗教の溝は深く、対立は永遠に終わりそうにない。エルサレムはヘブライ語で「イール・シャローム(平和の町)」を意味するという説が主流という。だが、この地に平和はいつおとずれるのだろう。
私たちはキリスト教徒の巡礼である。ユダヤ、イスラムが入り混じるエルサレムの街のキリスト教遺跡を訪ね歩いた。ヴィア・ドロローサ(悲しみの道)をたどり、鶏鳴教会やイエスが捕らえられる前夜に弟子たちと食事をしたシオンの丘の「最後の晩餐の部屋」で祈った。
エルサレムは、何千年という歴史がいっぱい詰まっている。とても数日では味わい切れない。それでも、精力的にイエスの足跡を訪ね、霊讃歌を歌って神を称えた。 |