前回のコラムで、「小沢一郎さんに一度首相をやらせてみてはどうか」と書いた。だが、そう簡単にはいかない。民主党代表選挙で小沢さんは菅直人首相に大差で敗れてしまった。結局この政治家は、首相になれない運命なのかもしれない。
小沢さんの敗因は、一言で言えばマスコミを敵にしたことではないか。議員票は菅さん206票に対し、小沢さん200票と拮抗している。
だが、党員・サポーター票は51対249で、菅さんに5倍の大差をつけられた。
自らの政治資金をめぐって元秘書らが3人も起訴されながら、国会の場で一度も説明しない。
記者会見では、質問者に逆ねじ食わすような対応。
マスコミを敵に回すということは、世論を敵に回すことでもある。世論の「小沢嫌い」を決定的にしてしまった。
まあ、3ヶ月前に鳩山由紀夫首相と小沢幹事長がセットで辞任したばかり。
首相がころころ代わっては諸外国からの信用を失う、という常識論が通ったということだろう。
菅首相が再選され、改造内閣が17日誕生した。党幹事長には菅首相を支持した岡田克也外相が就任。
閣僚名簿を見ると「脱小沢」色が明確だ。
副大臣で小沢グループを多数登用することで挙党一致を計りたい、ということだが、党内がぎくしゃくするのは避けられない。
菅改造内閣でおやっと思ったのは、総務大臣に民間から片山善博さんを抜てきしたことである。
前鳥取県知事で地方改革の旗手として鳴らした。地方分権をライフワークにしている片山さんに期待をかけたい。
とはいっても、そのほかは不安材料ばかり。緊急の課題である経済対策をしっかりやってほしいが…。普天間飛行場の問題は、移設先の名護市議選で移設反対派が過半数を獲得し、八方ふさがりの状況である。国土交通相から横滑りした前原誠司外相がどこまで手腕を発揮できるのか、注目される。
民主党は参院選の惨敗で参院の過半数を割り、ねじれ国会になる。衆院で通過しても、参院で否決されてしまえば法案は通らない。少数意見をどれだけくみ上げて政策に生かしていくかが、議会制民主主義の原点でもある。野党側と粘り強く協議し、国民が納得する政策を進めていく技量が求められている。
菅首相は「有言実行内閣」という。言うは易し、行いは難し。
さて、どれだけの政策が実現できるのか。悲観ばかりしていても始まらない。とにもかくにも、菅政権にがんばってもらおう。 |