一年のたつのが速い。そう感じるのは老いの証拠だと思う。イスラエル巡礼の旅から、もう一年経過した。巡礼の旅の紀行文は4回のままになっている。年が変わらないうちに締めくくりをしておきたい。
エルサレムのホテルに2泊し、それから後はガリラヤ湖畔の「キブツ」のホテルに3泊した。キブツとはイスラエル独自の社会主義的共同体。国内には256のキブツがあり、灌漑事業や農業を営み、乳製品や野菜、果物などを生産している。世界からボランティアが来ており、キブツのゲストハウス(ホテル)には多くの観光客が泊まる。
大晦日を外国で過ごすのは初めて。年が変わる夜12時、ゲストハウスの広間でさまざまな国籍の泊り客がカウントダウンのパーティーを開いた。私は早々と就寝でのぞかなかったが、若い人たちはハッピー・ニュー・イヤーと言いながら踊って新年を祝ったという。
翌朝8時から、ガリラヤ湖畔の浜で一行全員が新年の礼拝。厳粛な気持ちになった。礼拝後、船に乗ってガリラヤ湖上から周囲を見物した。山上の垂訓で有名な教会をはじめ、イエス・キリストの足跡を尋ねて教会をめぐった。
翌日の2日は、シリアとの紛争後に国連統治の非武装地帯になっているゴラン高原へ。国連PKOの一員として日本の自衛隊も駐屯している。自衛隊員40人ほどが半年交代で周辺の警護にあたっているという。
ゴラン高原はブドウ栽培の入植地があり、美味しい「ゴランワイン」を作っている。かつての紛争地帯も今は安全で穏やかなところになっている。「自衛隊も手持ち無沙汰」とガイドさん。自衛隊が暇をもてあますくらいが、平和でいいということだろう。
ゴラン高原からヨルダン川の源流にあたるピリポ・カイザリア地方へ。ここでもイエスの足跡をたどって、祈りをささげた。巡礼の旅も残りわずか。3日はイスラエルから隣国のヨルダンに入国し、モーセ終焉の地といわれるネボ山の頂上に上った。ネボ山からイスラエルを一望して、ヨルダンのアンマン空港へ向かった。ドバイ経由で11時間。関空についたのは4日の夕方だった。
3年前に続いてのイスラエルは、イエスを実感する旅だった。クリスチャンにとっては、また訪れたいと思う地である。1年前の巡礼の旅が、きのうのように鮮明によみがえってきた。 |