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株式会社 廣文館
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コラム・ブックレビュー
広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

《さらば、友よ》

突然の訃報に言葉を失った。9月18日早朝、大切な友人小野増平さんが逝った。まだ64歳だった。

新聞社に同期入社した仲間である。1年間、論説委員会という部署で一緒に社説とコラムを書いた。その後、彼は東京支社長、編集局長と幹部の道を歩んだ。私はずっと論説でコラムを書き続けた。

よく酒を飲みにいった。彼は赤ワインが好きだった。時には意見が対立することもあった。小泉元首相をめぐって、肯定的な彼と批判的な私は何度も意見を戦わせた。物事を真面目にとらえる姿勢、物静かでちょっとシャイ。彼の編集局長に期待したものである。

だが、新聞社の中で彼は苦闘したようだ。「筋を通す」主張がなかなか受け入れられず、役員の任期を残して新聞社を去った。まもなく、記者時代に書いたコラムなどをまとめた本が送られてきた。タイトルは「新聞記者っていいもんだ」だった。大学教授に転身して、若い人たちに思いを託すことを始めた。ところが、間もなく大病をして大学を辞め、治療しながら悠々自適の生活に入っていた。

8月末、彼が所有するボートに乗って瀬戸内海をクルージングした。そのときに写した写真を亡くなった後に手にした。ちょっとはにかんだような笑顔がいまだに脳裏から離れない。

このコラム欄は、もともと前身のブログに小野さんが書いていたのが始まりである。2001年、私に「コラムを書かないか」と声をかけてくれ、それから2人で好き勝手にコラムを書いてきた。それが、現在につながっている。「ブックレビュー」には小野さんも20冊ほどの書評を書いている。病魔に襲われる前の2009年7月1日、「戦場 学んだこと、伝えること」が最後の執筆になった。

まだ10日ほどしか経っていない。心にぽっかりと穴があいたままだ。いつ抜け出すことができるのだろうか。小野さんのためにも、コラムとブックレビューを書き続けたい。さらば、さらば、友よ。

【午睡/2011.9.27】


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