3・11の報道特別番組をじっくり見た。各テレビ局とも、キャスターを現地に派遣し、さまざまな角度から被災地の現状をリポートしている。
津波で息子、娘、孫を奪われたお年寄り、両親を亡くした子ども、最愛の妻、夫を…。そして、福島原発で故郷を追われた農家の人、放射線被害で苦しむ住民たち。映し出される映像を見ながら、胸が痛くなった。
死者1万5854人、行方不明者3155人。今でも約34万4000人の被災者が避難生活を強いられている。相変わらずの瓦礫の山、うずたかく積まれた除染の土砂。復興の足取りは重い。
この震災がれきは、地元ではとても処理しきれない。全国の市町村の協力が欠かせない。東京都はいち早く受け入れたが、引き受けを表明した神奈川県は黒岩知事が引き受け反対の住民から厳しい突き上げをくった。そのほかの自治体でも安全性を不安視する住民の反対が相次いでいる。
震災後に「絆」がクローズアップされた。だが、放射線の安全性を訴えてもノーという住民の姿勢は「絆」という言葉が泣いている。もちろん、安全を
確保すること大前提だが、もっと被災地の人々に心を寄せたい。幸い、瓦礫受け入れの反対が問題になって、北九州市や防府市などが名乗りを上げた。ここは、被爆地の広島市も声を上げて欲しい。
震災1年の新聞を読んでいたら、外国人によるメッセージが載っていた。「日本の人々は助け合い食べ物を分け合い、称賛すべき勇気を示した」「被災しても秩序を守る日本人を見て、日本が一層好きになった」などなど。うれしくなるメッセージが並んでいた。
当事者の東電や政府の対応には不満が募るが、嘆いてばかりいても始まらない。日本人の良い点は、外国人がしっかり見てくれている。被災地のために全国の地方人たちが復興の手伝いをしていこう。被災1年はそういう思いをあらためて確認する区切りとしたい。 |