梅雨入りが近いようだ。どんよりとした曇り空になり、蒸し暑い天気が続く。世の中には雨が好きな人もいるので一概には言えないが、うっとうしい季節である。政治の世界を見ると、その梅雨空よりうっとうしい感じだ。
御厨貴・東大客員教授が、先日の中国新聞に「日本だけでなく、財政、経済をめぐる民主主義国家の混迷が目立つ」と憂いていた。選挙のたびに地方や業界団体の利益を公約にまぶし、国家の根幹に関わる問題を棚上げにした自民党の「回避の政治」が長い間続いた。それを変えようと政権交代が起きた。しかし、民主党は自らの政策について「正しい」と叫ぶだけで実現する方策を持たないまま。そんな両党による「停止の大連立」に陥っているーと御厨氏は指摘する。
国家の枠に閉じこもりがちな政治と相反する経済のグローバル化が重なり、東日本大震災と原発事故で政治への不信は頂点に達している、というのである。既成政党は全く信用されない状況になり、そこで橋下徹大阪市長の人気が高まる、という構図だ。
野田首相は、消費税増税を「政権の命」と掲げたが、小沢一郎元代表ら民主党内の合意すらできない有様。早く解散して総選挙を行うべきである。それでも、その先の展望は開けそうにない。御厨氏は「夜明けは遠い」と悲観的だが、私も含めて多くの人たちが同じ思いだろう。
ならば、どうすればいいのか。民主主義というのは所詮、そんなものなのかもしれない。優れた賢人が独裁政治をすることが一番いいのだろうが、悲しいかなそんな賢人もいないし、人間は愚かな生き物、とくれば悲観的にならざるをえない。
そして、梅雨空を見上げながら、嘆くしかないのである。
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