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広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

《ソチ五輪》

東京都知事選は予想通り細川護煕氏が惨敗。「脱原発」は最大の争点にならなかった。その後は、世の中の話題はソチ五輪一色になった感じである。

家族の不幸、挫折、けが…を乗り越えて。スポーツの最高舞台である五輪ともなると、選手一人一人に人間ドラマがある。スキージャンプのレジェンドと呼ばれる葛西紀明選手、女子フィギュアスケートの浅田真央選手の「物語」に日本中が涙し、沸いた。とりわけショートプログラムで信じられないような失敗をした真央ちゃんの、フリーの演技は圧巻だった。メダルの有無や色にかかわらず、「記録ではなくて記憶」を世界に与えたのではないか。

一流選手の素晴らしい演技や、極限までの勝負がスポーツの魅力であることは、言うまでもない。だが、スキー競技で転送して板が折れた選手に、他国のコーチが板を提供したり、敗者が勝者を称えたりする姿により感動する。いわゆるスポーツマンシップである。きれいごとと言われるかもしれないが、スポーツの良さがそこにある。

気になった点もある。勝負至上主義で自国の選手しか見えなくなり、他国の選手をおとしめようとする偏狭なナショナリズムも見受けられた。政治とスポーツは別と言いながらも、現実は理想通りにならない。テロの脅威はその最たるものだろう。スポーツを心から楽しめるのは、平和であってこそといえる。

ただ、物語もマスコミの集中、過剰報道になると、いささか鼻白む。そして、作られた物語を鵜呑みにしてしまうと、時に事件が起きることもある。「現代のベートーベン」とまでもてはやされた被爆2世の音楽家・佐村河内守氏は、まさに物語が作り上げた虚像だった。

スポーツを味わううえで、物語はかっこうの味付けになる。だが、この味付けが濃すぎると本来の味が分からなくなる。スポーツはすることも見ることも、楽しくて面白い。しかし、何だか周りに装飾が多すぎて、純粋に楽しむことを阻害しているのではないか。ソチ五輪が終わり、寝不足になった頭でこんなことを考えた。

【午睡/2014.2.24】


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