サッカーのワールドカップが、ブラジルで開かれている。ザックジャパンは一次リーグで敗退してしまったが、決勝リーグは「にわかサッカーファン」も魅了するスリリングな戦いが展開中だ。日本がいないだけに、純粋にサッカーが楽しめるとも言える。
初戦のコートジボワール戦のテレビ視聴率が46%ほど。日本中の半分の人が見たことになる。あらためてワールドカップはすごいスポーツイベントと思う。それにしても、足でボールを蹴るスポーツが、何でこんなに世界中の人々をとらえて離さないのだろう。熱狂するサポーターを見ながら、いつも不思議な思いになる。
アルゼンチンのメッシ、ブラジルのネイマール、オランダのロッペン…。スーパースターたちの活躍に、しばしこの世のうさを忘れてしまいたい気持である。ただ、エースのネイマールが接触プレーで脊椎を骨折したのは残念でならない。
とはいっても、日本の政治状況を考えるとワールドカップにうつつを抜かしていていいのだろうか、とも思う。安倍政権がついに集団的自衛権を閣議決定した。歴代の内閣が憲法9条のもとで否定してきた集団的自衛権の行使を、解釈の変更で認めていいはずがない。
日本の「平和憲法」は世界に誇るべきものではないのか。理想論過ぎて現実的ではない、自分の国は自分の力で守るべき…。確かにいろんな批判はある。だが、戦後、日本は海外での武力行使によって一人も殺していない、一人も殺されていない。紛争解決に武力を使わないとうたった「憲法9条」が、歯止めになったのは間違いないだろう。
集団的自衛権は、一言でいえば「自衛隊がアメリカ軍と一緒に紛争地帯で武力行使を行うことができる」ということである。当然、血が流れ隊員の命が失われる事態が想定される。いくら限定的にしか使わないと言っても、その保証はない。「たが」が外れた後が怖い。こんな思いを抱きながらワールドカップの熱い戦いをテレビで観戦している。ああ。
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