人類の歴史は「戦争の歴史」といっても過言ではない。とりわけ20世紀は「戦争の世紀」と言われた。第1次、第2次世界大戦がその最たるものであろう。
第2次大戦後、アメリカを中心とする自由主義陣営とソ連を盟主とする社会主義陣営が対立する「東西冷戦」を経験した。しかし、1991年のソ連崩壊で冷戦は終結し、21世紀は平和な世紀になるのでは、と期待された。
しかし、残念ながら21世紀も紛争の時代が続いている。それも、20世紀とは少し違った形で。「新しい戦争」の幕開けは、2001年9月11日の「米中枢同時テロ」である。テロ組織が、複数の飛行機を乗っ取り、ニューヨークの超高層ビル「世界貿易センタービル」や国防省が入るペンタゴンなどに突入させた。死者3000人、負傷者6000人を超える大惨事となった。2機の飛行機がぶつかってビルが崩壊するあの映像は、今でも鮮明に思い出す。
21世紀は平和な世界という願いは、このテロ攻撃で崩れ去ってしまった。アメリカは「対テロ戦争」に踏み出し、テロ組織アルカイダの根拠地とされるアフガニスタンを攻撃してタリバン政権を倒す。さらに大量破壊兵器を保持する理由でイラクを攻撃し、フセイン政権を打倒した。
だが、「アメリカの正義」が結果的には更なる混乱を招く結果になっている。アフガニスタン、イラクとも政情は一向に良くならない。イスラム過激組織「イスラム国」がシリアからイラク東部を制圧して、紛争は拡大するばかりだ。
世界を見渡せば、パレスチナをはじめシリア、ウクライナ、ソマリア、新疆ウイグル、北アフリカなどなどいたる所で紛争が起きている。その原因は宗教対立、民族問題、貧富の格差、領土問題、資源獲得競争などが複雑に絡み合っている。日本だって竹島、尖閣諸島、北方領土など韓国、中国、ロシアとの領土問題を抱えている。
ヒト、モノが国境を超えて行き交うグローバルな時代になっている。一方で、偏狭なナショナリズムが高まっている。科学技術は進歩しているが、人間の心ってどうして進歩しないのだろう。「人類は滅亡に向かっている」という思いを改めて強くする。
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