朝、目覚めてびっくり。窓のカーテンを開けると、銀世界の景色が飛び込んできた。それもベタ雪とあって、庭の松の木が見事に白い綿をかぶっている。しばしの間、見とれた。ところが、その後が大変だった。
17日、「爆弾低気圧」の影響で、全国的に大雪と強風に見舞われた。広島市の中心部でも8センチの積雪。少し山に入ると4、50センチも積もっている。JR山陽線が一時不通になり、バス便などの公共交通網は大渋滞。安佐南区沼田町にある仕事場まで4時間かかってしまった。仕事を終えて夕方家に帰った時は本当に疲れた。
14日の衆院選から虚脱感に覆われていただけに、大雪に追い打ちされた感じである。前回のコラムで「選挙で意思を示すことができる国は幸せだ」と書いた。だが、投票前の予想通りに自民・公明の与党が圧勝した選挙結果は、いささか面白みに欠けた。投票率が52・66%と戦後最低になったのが象徴的である。
もっとも、自民党が勝ったというよりは、野党側がだらしなかった結果ではないか。つまり、批判票を投じたくても入れたい野党がなかった、ということだろう。そうした中で、特筆されるのは沖縄県である。最大の争点は、米軍普天間飛行場の辺野古移設問題だった。4つの小選挙区で推進派の自民党が全敗したのだ。
11月の県知事選でも、辺野古移設阻止を掲げた翁長雄志氏が当選したばかり。「日本全体の0・6%の面積に在日米軍専用施設の約74%が集中」という理不尽さに、沖縄県民は怒っている。選挙結果をみれば、辺野古移設反対が沖縄県民の民意といえる。ところが、衆院選圧勝を受けて安倍首相は、これまで通り辺野古移設を進めると構えだ。
私の周りには、私を含めて「沖縄好き」が結構いる。沖縄に人情の厚い友人もいる。訪れると、独特の料理に舌鼓をうちながら泡盛を飲む。何度でも行きたいと思うところである。その沖縄に日本政府はなんという仕打ちであろう。スコットランドのように「独立運動」が起きてもおかしくないと思う。庭の雪景色を見ながらそんな思いにひたる師走のひとときである。
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