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株式会社 廣文館
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コラム・ブックレビュー
広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

《野菜作りの勧め》

自宅から少し離れた高台の小さな菜園で、数年前から野菜作りをしている。やっと春らしくなって、畑に行くのが楽しい季節になった。瀬戸内海が望める畑での土いじりは、心が安らぐひとときである。

石灰と肥料をまいて小さな耕耘機で耕す。今は、ジャガイモを植える時期である。畑には、タマネギとサヤエンドウ、ニンニクが植えてある。これからホウレンソウ、シュンギク、ダイコン、カブなどの種をまく。ゴールデンウイークのころには、トマトやキュウリ、ナスビ、ピーマンなどが控えている。

野菜作りをしていると、いろんなことが見えてくる。完全無農薬なので、とりわけ葉物はよく虫に食われる。それでも、何とか自宅で食べる程度はできる。店頭に並んでいるような形の良い野菜を作ろうと思ったら、農薬をたっぷり使う必要がある。逆に言えば、見てくれのいい野菜は農薬まみれの恐れがあるということだ。虫がいるのは、それだけ安全ということでもある。

安全というだけでなく、採りたての野菜は本当においしい。例えば、シュンギクやダイコンの間引き菜は、サラダにして生で食べると抜群である。露地野菜は、旬のものをいただけるのがいい。最近は温室栽培が幅を利かせて、野菜の旬が分からなくなっている。旬のものは安くておいしい。野菜作りをしていると、その旬を知ることができる。

家庭菜園のコツは「少量多品種」をつくることである。ただ、これが意外と難しい。種の袋を買うと一回では使い切れない。翌年に回すと発芽率が落ちる。手間もかかる。 問題解決の一つの方法は、何人かの友人で一緒に作ることだろう。

公的な野菜菜園もあるし、知り合いに頼んで小さな畑を借りる手もある。皆さんも野菜作りをしてみませんか。知識は本やテレビで簡単に得ることができる。種をまいたあと、芽が出て苗が育っていく姿は、何物にも代えがたい感動がある。それを知っただけでもありがたいと思う。

【午睡/2015.3.16】


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