廣文館廣文館

廣文館

店舗ごあんない
本を探す【e-hon】
本を注文するには
お買い得の本
ひろしまの本

HON-TOカード
コラム・ブックレビュー
スタッフ募集
お役立ちリンク集
会社概要
IR情報
HOME


株式会社 廣文館
〒730-0035
広島市中区本通り1-11
TEL:082-248-2391 
FAX:082-248-2393
E-mail:info@kobunkan.com
コラム・ブックレビュー
広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

《サヨナラだけが人生だ》

暖かい日が続くと、あっという間に花びらが開く。広島市の平和公園では桜が満開になった。そして、あっという間に散っていく。街に出て繁華街を歩くと、行き交う人たちが何だかいつもと違う感じに見える。浮かれているというか、明るいのである。日本人にとって、桜はやはり特別の花なのだと思う。

世界をみれば、イスラム国のテロ事件が世界のあちこちに広がっている。いったいこれから先、どうなっていくのだろう、という不安が募るばかりである。人間は何て愚かな動物なのだろうか。宗教、民族、資源、エネルギーなどなどさまざまな要因で争いが絶えない。かつて地球を支配していた動物たちは、次々と滅亡していった。人類も滅亡への道をひた走っているとしか思えない。

だからというわけではないが、せめて花の下でしばしこの世の憂さを忘れたい。この時期になると、いつも思い浮かべる詩がある。唐代の詩人、于武陵の「勧酒」を井伏鱒二が訳したものだ。

コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

カタカナが何だかぴったしとくる。今年も友人と花見をした。「お互いが酒を酌み交わせるのはいつまでだろう。このひと時を大事にしたい」と思いながら、しみじみと飲んだ。年を重ねると、「さよならだけが人生だ」の言葉が身に染みる。

薄いピンク色をした桜の花びらがはらはらと散るさまは、とりわけ至福の時である。今年も生きてサクラを見ることができた。「サヨナラ」の時はもうそんなに長くない、とそんな想いに浸りながら…

【午睡/2015.4.2】


▲ページトップ back

Copyright(C)2005 KOBUNKAN.All rights Reserved.