「孫は来てよし、帰ってよし」とは、まさに名言である。小さな孫が実家に来るのはうれしい。一所懸命に面倒を見る。だが、けがをさせてはいけないと目が離せなく、気を遣う。じいちゃん・ばあちゃんには体力的に限界があり、疲れてしまう。そして、孫が帰ってしまうと、寂しいけれどホッとするというわけだ。
一時的な帰省で、多くの祖父母がそんな経験をしているだろう。ところが、幼い孫だけを長期間預かるとなると、ちょっと状況は変わる。わけあって、2歳10カ月になる孫娘を1カ月まえからみている。夏まで3カ月預かる予定で、夫婦2人が「孫育て」の日々をおくっている。
血のつながった幼子は「目に入れても痛くない」という言葉通り、理屈抜きでかわいい。外出から帰ると「じいちゃん」と抱き付いてくる時はたまらない。おしゃべり、一つ一つのしぐさをいくら見ていても飽きない。しかし、階段の上がり降りや、道に突然飛び出す行動など、危なくて目が離せない。泣いたりごねたりする。一緒に遊んだり、公園に行ったり、風呂に入れたりと付きっ切りになる。家事や用事が思うようにできず、気が付けば一日が終わるという感じである。
仕事人間で子育てには参加していなかったので、幼い子どもの世話をするのは罪滅ぼしのような気持ちもある。それはそれとして、幼子を観察するとなかなか興味深い。3歳にもなっていないのでまだオムツをしているが、一人前に会話ができる。動物園で見た動物のしぐさなどをよく覚えていて話し続ける。記憶力は高齢者よりいい。「これなに」「どうして」と何でも質問攻め。「かわいい」というと「かわいくない」と言ったりもする。時には大人をからかったりして、振り回されている。
「三つ子の魂百まで」といわれるようし、この時期いろんなものを次々と吸収しているようだ。一日一日成長している姿を見ていると、「人間って不思議だなー」と思う。子育ては、基本的に体力のある若いうちにするものだ。祖父母だと、どうしても甘やかしてしまう。「わがままになった」と言われるのは覚悟で、しんどいと思いながらも孫育てを楽しんでいる。
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