「1975(昭和50)年、10月15日」。この日のことは、忘れることができない。広島カープが球団創設以来、26年目に初優勝を遂げた日である。
試合が始まってから終わるまで、昨日のように情景がよみがえってくる。カープが東京の後楽園球場(現東京ドーム)で、巨人軍を破って優勝を決めた一戦。私は、3塁側スタンド取材していた。初優勝がかかっていたので、球場はカープファンが詰めかけて異様な雰囲気に包まれていた。
カープは1番大下、2番三村、3番ホプキンス、4番に山本浩、5番衣笠の打順。5回に1点を先取し、9回表にホプキンスが3ランの祝砲を上げて勝利を確定的にした。投げてはエース外木場投手が力投し、8回のピンチから金城投手が救援し、結局は4対0で巨人をねじ伏せた。優勝決定と同時に熱狂的なファンがグラウンドになだれ込み大混乱になった。古葉監督の胴上げに選手、ファン一体となった喜びに包まれた。私自身、夢のような一瞬を共に味わうことができて、幸せなひとときだった。
中国新聞セレクトに「プレーバック昭和50年 赤ヘル初優勝への道」として春から連載され、9月27日号が初優勝の紙面だった。あの日から40年。今シーズンは大リーグで活躍していた黒田投手が戻ってきて投手陣が充実し、優勝の期待は大きかった。しかし、勝てば3位になりクライマックスシリーズに進める最終試合で敗れ、4位に終わってしまった。この試合を中継したテレビの視聴率は44.5%もあった。いかに、広島市民が優勝を待ち望んでいるかを表しているようにみえる。
最近は全国的に赤ヘルファンが増えている。今シーズンの年間観客動員数は200万人を超え、過去最高だった。だが、カープは24年も優勝から遠ざかっている。昭和50年10月15日の感動を、若い人たちにも味わってほしいと思う。カープファンのためにも、来シーズンの奮起を願いたい。
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