仕事がら、テレビの報道番組を見る機会が多い。夜はテレビ朝日の「報道ステーション」を見て、その後にTBSの「ニュース23」をはしごする。昨年12月、報道ステーションの古館伊知郎キャスターが、2016年3月末で降板するという会見があった。一方、ニュース23の岸井成格アンカーマンも、交代することが発表された。相次ぐ降板にいささか危惧を覚える。
古館さんは久米宏さんの後を受けて、12年間、キャスターとして頑張ってきた。降板会見の後、いつも難しげな顔をしている古館キャスターの表情が、吹っ切れたように穏やかになっている。スポーツや芸能ネタだと饒舌でなめらかだが、政治関係となると妙に構えているように見えた。苦手部門と自覚し、一生懸命に勉強してからコメントしていたのだろう。
久米時代の「ニュースステーション」から政権に批判的とみられ、自民党政権からは目の敵にされてきた。さまざまな圧力があったはずだ。会見で「報道は反権力の姿勢があっていい」という趣旨の発言をしていた。個人的には古館キャスターが好きではなかったが、その姿勢は評価したい。これからは得意分野で存分にしゃべくりまくってほしいと思う。
また、岸井さんは安保法案に真っ向から反対し、これまた政権側から目の敵にされた。安倍政権になってから、自分の意に添わない報道を規制しようという自民党の圧力が強まっている。安倍首相が“お友達”の籾井氏をNHKの会長に送り込み、NHKの報道姿勢が変わっってしまった。「籾井会長の間は 視聴料を払いたくない」とまで私は思っている。
権力に対して批判ができなくなったら、ジャーナリズムは終わりである。ことなかれ主義になるのではなくて、権力に向かって「おかしいことはおかしい」とはっきり言える報道番組であってほしい。キャスターが交代した後の「報道ステーション」や「ニュース23」を注視したい。
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