政界は「一強多弱」といわれている。もちろん、一強は自民党のことである。その根拠は政党支持率だ。自民党が40%前後に対し、野党第一党の民主党が10%前後、共産や公明、おおさか維新の各党が5%足らずといった状況である。
その中で、4年目を迎えている安倍内閣は、50%前後という高支持率を保ってきた。積極的に支持するというよりは、「ほかと比べたらまだまし」という支持が多いのではないだろうか。二大政党制が定着すると期待された民主党政権のていたらくで、国民の失望はあまりにも大きかった。それが、現在の「一強」を招く要因になったのは間違いない。
野党が弱いのだから、安倍政権はやり放題である。そんな中で、一連の閣僚や自民党国会議員の不祥事、不適切発言が相次いだ。少々のことで政権が揺らぐことはない、という「一強のおごり」である。そして、いろいろあっても内閣支持率はあまり落ちなかった。甘利大臣が秘書の「口利き疑惑」で引責辞任した時は、内閣支持率は下がるどころか上がったのだ。しかし、さすがに自民党の丸山和也法務部会長の人種差別とも受け取られかねない発言を受けて、2月20、21日に実施した世論調査では、内閣支持率が7ポイント急落した。
それでも支持率は46%もある。自民党に代わる受け皿が見えないのだ。こんな名言がある。「その国の国民は、その民度ふさわしい政府しか持ち得ない」。社会学者のマックス・ウエーバーの言葉らしいが、確かに国会議員を選んだのは国民なのである。今の政治に対して、怒ったり嘆いたりするのはたやすいが、結局は天に唾するようなことになってしまう。
目先の利益に惑わされず、「なりたい人よりは、なってほしい人」を国会に送り出すしかない。そう思うのだが、これが大変難しいのである。ただ、「一強」になるとロクなことはない、と自覚して選挙で投票するくらいはできるのではないか…。
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