本当に「長い、ながーい」年月だった。何しろ1991年から優勝という感動を味わっていなかったのだから。9月10日の東京ドーム。広島カープが巨人を下し、25年ぶりにセ・リーグの栄冠を勝ち取った。私もカープファンの一人として乾杯し、久しぶりの美酒に酔った。
優勝を決めた後、黒田博樹投手と新井貴浩選手が抱き合って涙を流した。緒方孝市監督の胴上げに続いて黒田、新井両選手をナインが胴上げした。まさに、今年のカープを象徴するシーンだった。黒田、新井両選手に引っ張られ、チームが一つになって戦ったカープの姿がこの光景に見事に表れていた。そして、スタンドを真っ赤に染めて応援するカープファンが後押しした優勝でもあった。
優勝を決めた巨人戦といえば、今から41年前を思い出す。1975年10月15日、東京の後楽園球場(現在の東京ドーム)で球団創設26年ぶりに初優勝した時のことである。万年Bクラスでセ・リーグのお荷物的存在だったカープが、その年突然、快進撃をしたのである。今回、流行語にもなっている「神っている」という言葉がピッタリくる、まさに奇跡の優勝だった。
記念すべき日に、私は後楽園球場の3塁側スタンドで取材という幸運に恵まれた。球場は詰めかけた赤ヘルファンで異様な雰囲気に包まれていた。その瞬間、ファンがグラウンドになだれ込み、大混乱になった。それくらい、カープファンは狂喜乱舞したのである。試合の最初から最後まで、試合後の古葉監督の胴上げ、中心になって活躍した山本浩二選手の涙を流す姿が、昨日のようによみがえってくる。
広島の街中が歓喜に沸き返った。道端で誰彼もなく胴上げが繰り返され、ハイタッチや「それ行けカープ」の大合唱。その光景は想像を超えるものだった。「たかがプロ野球、されどプロ野球」である。そこまではいかないが、今年の優勝はまた違った意味で大きな感動を与えてくれた。
41年前の10月20日、広島の平和大通りで優勝パレードが行われ、沿道に30万人のファンが詰めかけた。カープの優勝はセ・リーグで7回目になるが、優勝パレードはその時だけ。今年再び、優勝パレードを見ることができそうだ。市民の笑顔がはじける日が楽しみだ。
|