ペルソナ・ノン・グラータ。外交用語で「好ましからざる人物」「忌まわしい人物」という意味だ。金正男氏殺害事件に関連し、北朝鮮の姜哲駐マレーシア大使がマレーシア政府から「ペルソナ・ノン・グラータ」として国外退去を命じられた。
クアラルンプールの空港で金正男氏が暗殺された事件は、猛毒のVXガスが使われた。誰が見ても北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の指令と思われるが、例によって陰謀説を主張している。金委員長はトップに就いて5年。百人を超える幹部や側近などを粛清する恐怖政治で政権を維持してきた。この人物こそ「ペルソナ・ノン・グラータ」と言えるのではないか。
もちろん、世界を騒がしている好ましからざる人物はほかにもいる。その最たる人物がトランプ米大統領である。イラン、イラクなどイスラム諸国からに入国を一時禁止する大統領令を出したり、一部メディアを敵視して会見出席を拒否したりするなど、粗暴とも思える発言や政策が次から次へと混乱を引き起こしている。
ロシアのプーチン大統領も、独裁政治による強権的な姿勢が目立つ。政敵や批判するジャーナリストが次々謎の死をとげている。ほかにも、シリアのアサド大統領など独裁的な政権は多い。中国の習近平政権、日本の安倍政権もなんだかイヤなにおいを感じる、というのは言い過ぎだろうか。
ちょっとスケールが違って同列で書くのははばかれるが、今、日本を騒がしている「森友学園」の籠池泰典理事長も、ペルソナ・ノン・グラータのように見える。幼稚園児に教育勅語を暗記させる思想教育は、どうみても時代錯誤ではないか。国有地の払い下げに伴う問題に始まり、疑惑が噴出している。
ペルソナ・ノン・グラータに共通しているのは、自分のことは棚上げして「マスコミはうそをつく」と責任転嫁する姿勢だ。世界を覆う紛争とテロ、そしてまかり通る独裁者たちの身勝手な政治。「権力は腐敗する。絶対権力は絶対腐敗する」という格言を改めてかみしめている。世界は、日本はどうなっていくのだろう。ため息ばかりである。
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