希望の党がずっこけ、自民の圧勝に終わった衆院選挙から、もう1ヵ月たった。「小池劇場」は、“希望の党”が“失望の党”に変わり、そして“絶望の党”になってしまったようだ。東京が原発事故で壊滅してしまう近未来小説「東京ブラックアウト」に例えると、「小池ブラックアウト」とでもいえようか。
ただ、自民の圧勝と言っても、むしろ、野党の分裂による敵失の勝利という方が当たっているだろう。そのあたりを考慮して安倍首相や自民党は、選挙後の会見で「謙虚な姿勢」を強調していた。ところが、これまでの国会で、野党8対与党2だった質問戦の時間配分を、5分5分にと主張し始めた。与党は法案提出までに事前に審議をしているのだ。国会は政府のチェックが大きな役割だ。野党に質問時間を多く配分するのが当然ではないか。
国会中継を見ていると、与党の質問は「よいしょ」ばかりで聞いていて嫌になることが多い。中には時間が余って般若心経を唱えた自民党議員もいる。森友・加計問題で追及されるのが嫌だから、野党の質問時間を少なくしたいのでは、と勘繰ってしまう。「謙虚」どころか「傲岸」そのものである。
安倍一強を崩すことができず、結果的に後押ししたのが小池都知事の立ち上げた希望の党だったというのも、まるでブラックユーモアみたいだ。東京都議選の圧勝から今回の奈落の底へと、小池都知事の浮き沈ぶりはあまりにも激しい。これも、一言でいうと「おごり」の結果だろう。
安倍首相は来年の自民党総裁選で3選を目指す。これから4年間、総理の座を続ければ歴代最長になる。このまま「安倍一強」でいいのだろうか? 口先で謙虚といいながら、おごり高ぶった政治を許していいのだろうか。
トランプ大統領、プーチン大統領、習近平総書記、金正恩委員長、そして安倍首相。独裁的な権力を握っているリーダーたちの顔を思い浮かべただけで、私の心は「ブラックアウト」になってしまう。
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