西日本一帯を襲った豪雨は、時が経つに連れて被害の大きさが明らかになっている。とりわけ、広島県は死者・行方不明の数を含めて甚大な被害を受けた。交通網はズタズタに寸断され、停電や断水のところもあり、住民生活は深刻だ。大雨の後は梅雨明けで、炎天下。災害復旧にも過酷な状況が続く。
今回の大雨で、何度も聞いたのが「今まで経験したことのない豪雨」という言葉である。大雨警報の上の段階である「大雨特別警報」も発令された。大雨のさなか、私が住んでいる廿日市市も、大雨特別警報、避難勧告、避難指示が次々と出た。広電宮島沿線にある自宅は平地なので土砂崩れの心配はない。しかし、河川の水があふれて冠水の恐れがある。避難場所はすぐ近くの公民館なので、冠水すれば同じ条件だ。そこで、自宅の2階でテレビを見ながら寝られない夜を過ごした。
私の故郷、呉市蒲刈町(上蒲刈島)でも、家が土砂崩れにあって50代の男性が亡くなった。こんなことは、初めてのことだ。今まで崩れたことのないところが土砂崩れになり、道路が寸断され、文字通り「孤島」になっている。橋でつながった島は陸路が唯一の交通手段。ないものねだりだが、こんな時こそ船便が残っておれば、と思う。
今回の豪雨で、行政側は避難勧告や避難指示など早め早めの対応をとった。それでも、「今まで経験したことのない豪雨」のもとでは、被害が避けられない厳しい現実を思い知らされた。「地球温暖化による異常気象」が指摘されているが、最近の異常気象は「半端ない」状況だ。今までの経験が役に立たないのである。
豪雨災害は、これからも頻繁に起こるのではないか。それを前提に、対策を立てなくてはいけない時代になっていると思う。南海トラフ地震も予想されている。災害に備えて、事前に避難場所の確認と避難訓練、懐中電灯や水、食料など非常時の準備が求められている。「避難指示」は避難命令と同じだが、まだ安易に考えている自分に反省、また反省。人間は「喉元を過ぎると熱さを忘れてしまう」ものである。もう一度、本気で対策を考えたい。みなさんも。
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