広島カープがセ・リーグ3連覇を成し遂げた。リーグ3連覇は、セでは巨人だけしか達成していないのだから、「素晴らしい!」の一言である。カープファンの一人として、心から感謝、感謝である。
対照的に、最近の巨人の凋落ぶりが目に付く。高橋由伸監督の暗い表情が、今の巨人を象徴しているように見えるのは、私だけだろうか。川上巨人軍の9連覇(V9)、というとてつもない記録がある。「巨人、大鵬、玉子焼き」という言葉があった。日本中が巨人ファンであふれていた時代がある。ところが、他チームの4番打者やエース投手を金に飽かしてかき集めるやり方が、世の批判を浴びた。自軍の若手を地道に育てることを怠ったツケが今、払わされていると言えるだろう。
一方、貧乏球団のカープは、「原石を磨いて育てる」ことしか活路を見出すことができなかった。育てた4番やエースが、フリーエージェント(FA)で巨人や阪神にさらわれていったこともある。しかし、結果的にはカープの方針は間違っていなかった。タナカ・キク・マルの1、2、3番トリオに、丸佳浩、鈴木誠也や松山竜平、野間峻祥、会沢翼、中崎翔太らはスカウトが才能を見出した選手ばかりだ。さらに、ドミニカのカープアカデミー出身のバティスタやフランソワたちの外国選手も自前で育成した選手ばかりである。
「カープ女子」という流行語も生んだ、女性を取り込む戦略も良かった。今や、ホームだけでなく、アウエーでも真っ赤なユニフォーム姿のファンで埋まる。他球場でもカープ戦から入場切符が売れるという。地方の球団が全国的な人気を集めるのも、巨人と対照的なチームカラーが評価されたと思う。球界の覇者として、何でも思うがままに出来た巨人の「おごり」が、現在の状況を招いたとも言える。
広島市民球場はいつも満員で、切符がなかなか手に入らないという、うれしい悲鳴が続いている。ただ、生来のひねくれ者としては、カープファンが熱狂すればするほど、冷めてしまうものがある。「実るほど頭が下がる稲穂かな」。カープ球団、選手、ファンたちよ、今こそ奢るなかれ。謙虚に、謙虚に、“カープの時代”を持続させていこう。
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