沖縄の県民投票は、予想通りの結果といえるだろう。米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市辺野古沿岸部の埋め立てに「反対」が7割を超えた。明確な民意が示されたわけである。
ところが、菅官房長官は県民投票が行われる前の記者会見で「投票結果にかかわらず辺野古移設を進める」と明言した。なんという傲慢な姿勢だろうか。確かに、投票結果に法的拘束力はない。しかし、「辺野古ノー」の民意を政府がないがしろにしていいのだろうか。昨年の県知事選でも、辺野古移設反対を唱える玉城氏が推進派の自民党推薦候補を破って当選した。その時、政府・自民党側は「辺野古移設だけが争点ではない」と言い張った。今回は、そんな言い訳は言えない。
安倍首相は「県民投票の結果を真摯に受け止める」としながらも、「移設をこれ以上、先送りすることはできない」といつもながらの答弁。「真摯に受け止める」というのは、今年の統一地方選や参院選を考えて低姿勢を示しただけなのだろう。今一度立ち止まって新基地移設工事を中止し、沖縄の声に耳を傾けるのが「真摯な姿勢」というものではないのか。
以前、自民党の若手議員の勉強会で、沖縄の報道機関に圧力をかけようとする発言が相次いだ。辺野古基地建設に反対する琉球新報と沖縄タイムスが「沖縄の世論」をゆがめているとし、「二つの新聞はつぶさないといけない」とまで主張した。2紙は沖縄県民の憤りをしっかりと報道している。それが、基地建設を進めようとしている自民党政府側にとって目障りということなのだろう。
沖縄には、在日米軍基地の約7割が集中する。政府は、沖縄県民の切なる声を本当に理解しようとしているのだろうか。自民党若手議員の発言は、安倍首相の本音を代弁したようにも思える。ブラックジョークとしか思えないが、安倍首相はトランプ米大統領をノーベル平和賞候補に推薦したと伝えられる。沖縄の民意より、アメリカの意向を優先する政権。いっそ「沖縄独立運動」を起こしてはどうか、とまで思っている。
|