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株式会社 廣文館
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コラム・ブックレビュー
広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

《W杯ラグビー日本大会》

日本で開かれているW杯ラグビーで、ラグビー人気が急上昇している。長年のラグビーファンとしては嬉しい限りである。東京の学生時代、当時の黄金カードだった早明戦をよく見に行った。私の母校・早稲田はバックスの素早い展開が得意。明治は強いフォワードで押しまくるチーム。カラーの違うライバル対決に胸を躍らせたものだ。

根っからのカープファンで野球好きだが、常々、「見て一番面白いスポーツはラグビー」と言い張ってきた。だが、家族をはじめ周囲の反応は冷ややかだった。ラグビーが日本でメジャーにならなかった原因はいくつかある。その一つはルールが難しいことだろう。「スクラム」にしても、「何のためにしているのだろう」と思っている人も多いのではないだろうか。

15人対15人で前後半40分間ずつ、トライで5点、ゴールキックが入ると2点、ペナルティキック3点、という基本的なことに加え、三つのルールを知れば面白さが実感できる。その一つが、ボールを前にパスしてはいけないこと。前にパスをすると「スローフォワード」の反則になる。二つ目が、タックルの相手はボールを持っている選手にだけ。誰にでもタックルしていいアメリカンフットボールと大きく違う点である。タックルを受けて倒れた選手は、ボールを手放さなければならない。手放さないと「ノットリリースザボール」の反則だ。三つめは、ボールを前に落とすとノックオンの反則になる。

反則になると、相手ボールのスクラムやラインアウトで試合を進める。これだけ知っておれば、十分ゲームが楽しめるだろう。鍛え上げた屈強な選手たちがぶつかり合い、汗がほとばしる。次々とボールをパスしながら前進し、タックルを交わして走りこむ。トライが成功した時は、球場全体が歓声で沸騰する。

そして、試合終了の合図「ノーサイド」の笛がなる。勝っても負けても、お互いの健闘を称えあう姿が、爽やかで何とも言えない。W杯ラグビーは、日本チームの大活躍で盛り上がっている。メディアでも大々的に取り上げられ、面白いスポーツだと認知されつつある。この盛り上がりを、大会だけの一過性のものにするのは、もったいない。これを機会に、日本でもメジャーなスポーツになってほしいと願う。

【午睡/2019.10.10】


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