昨年12月、中国湖北省武漢市を中心に発生した新型コロナウイルスによる肺炎が、あっという間に世界中に広がっている。2月13日現在、中国本土だけでも感染者は5万9804人となり、死者は1367人になった。日本国内でも初の死者が出た。
感染者は世界27カ国に及び、感染症が世界中に流行する「パンデミック」状態になっているといえるだろう。外国旅行が当たり前で、世界の人と物が流動するグローバル化の時代だけに、パンデミックのリスクが以前よりより高まっているのは避けられない。
人類は長い間かけて自然を克服してきた。気まぐれな自然に耐えうる農産物を作り出し、食料供給を可能にした。自然災害から身を守り、抗生物質を開発し医療を進歩させて寿命を飛躍的の延ばした。自動車や飛行機、コンピューターを作って人間の限界を突破してきた。地球の征服者になったのである。
しかし、「自然を征服」してきたと思っていた人類だが、果たしてそうだろうか。産業革命以来、人間はあくなき「成長欲求」によって大量の二酸化炭素を排出し、開発のため森林を伐採してきた。その結果、地球温暖化による異常気象によって、世界各地で大災害が頻発するようになった。オーストラリアでの大火災と洪水はその典型ではないか。地球を、自然を征服してきたという人類のおごりに、今、自然が逆襲しているのではないか。パンデミックも「自然の逆襲」の一つとみることもできる。
世界を見渡せば、「地球温暖化はフェイクだ」と公言するトランプ米大統領を始め、北朝鮮の金正恩委員長、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平主席、それに安倍晋三首相ら「自国の利益」や「成長」ばかり追い求める権力者があまりにも多すぎる。人類を滅びさせるかもしれない状況が進んでいることを、どれだけ自覚しているのだろうか。
人類最大の課題は、こうした「自然の逆襲」を阻止する知恵を出すことである。まず、人間は謙虚になることだ。といっても、前述の権力者には「馬の耳に念仏」「蛙の面に小便」かもしれない。さて、どうすればいいのか、自問するばかりである。
|