長かった。外出自粛の日々である。新型コロナの緊急事態宣言が、東京や大阪などを除いて解除された。感染者が減ってきて収束に向かっているようだ。といっても、「終息」ではない。人類は新型コロナとこれからも共生せざるを得ないだろう。
「ステイホーム」ということで、家に籠って世界を眺めていると、良いことも悪いことも様々なことが見えてくる。世界の多くの国がロックダウン(都市封鎖)したが、日本は自粛要請で乗り切ってきた。手洗い、マスクをして人同士の接触を避ける。強制的に封鎖しなくても、みんなが真面目に従うのは日本の良さといえる。
一方で、「ワンチーム」が「挙国一致」になり、隣組が監視しあう、なんだか戦前の嫌な時代を思い出させる状況も生まれている。コロナに感染した人の家に石が投げ込まれたり、医療従事者を差別したり、接触8割減と外出8割減を混同して外出者を「非国民」のように扱ったり…。こんな時こそ、寛容で心優しい気持ちを持ってほしいと願うのは、ないものねだりなのか。
そして、こんな非常事態になるとリーダーの資質が問われることも身に染みた。緊急事態宣言の解除で記者会見した安倍首相は「人と人との絆の力があれば、目に見えないウイルスの恐怖や不安な気持ちに必ず打ち勝つことができる」など、官僚の作文を読んだ。しかし、伝わってこないのは首相本人の心から出た言葉でないためだろう。
首相は、指摘され続けているPCR検査が進まない理由を問われると「目詰まりしている」と他人事みたいにいうだけ。無策の典型が466億円もかけた「アベノマスク」だろう。シミなどの不良品も見つかり、今だに届いていない家がほとんどだ。コロナ対策の雇用調整助成金や休業補償なども、手続きが面倒なうえ手元になかなか届かない。諸外国の例と比べてもあまりにも遅い。
8年に及ぶ最長政権の安倍首相は「責任は私にある」が口癖だ。だが、責任を取ったことがない。本当はみんな知っている。「国は最後に助けてくれない、と」。それでも内閣支持率は40%前後で、そんなに下がらないのだからイヤになる。「コロナ後」を憂う。
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