廣文館廣文館

廣文館

店舗ごあんない
本を探す【e-hon】
本を注文するには
お買い得の本
ひろしまの本

HON-TOカード
コラム・ブックレビュー
スタッフ募集
お役立ちリンク集
会社概要
IR情報
HOME


株式会社 廣文館
〒730-0035
広島市中区本通り1-11
TEL:082-248-2391 
FAX:082-248-2393
E-mail:info@kobunkan.com
コラム・ブックレビュー
広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

《分断と格差》

米大統領選は、民主党のバイデン氏が選挙人獲得数「306対232」で勝利した。だが、トランプ大統領は「選挙で不正があった」と主張し、訴訟を起こして敗北宣言をしないままだ。予想はされていたが、政権移行がスムーズに進まず、混乱はしばらく収まりそうもない。

トランプ支持派とバイデン支持派が、お互いにデモをして対立。アメリカ社会の分断は深刻だ。アメリカファーストを掲げ、自らフェイクニュースを発しながら、批判や気に入らないメディアには「フェイクニュース」と言ってはばからないトランプ大統領。米国の民主主義も地に落ちた、と思うのだが、トランプ氏に投票した人は7000万を超える。これが米国の実情である。

新型コロナウイルスの感染者は、世界で5400万人、死者も131万人を超えて拡大し続けている。中でも、米国は感染者数が世界一の1100万人、死者数も25万人を超えた。この背景には、コロナ禍を軽視したトランプ大統領の政策もあるが、広がり続ける富裕層と貧困層の格差もある。医療費が高く、健康保険にも入れない低所得者層は病院に行けない人が多いのだ。

資本主義は、「生産手段の私的所有と利益のための運用を基本」とする経済システムである。自由な競争によって経済活動がうまく回転するというアメリカ型の市場原理主義は、平たく言えば「弱肉強食」である。グローバル化もあって、一部の富裕層がますます大金持ちになり、中流階級が没落して貧困層がどんどん増えるという悪循環に陥っている。資本主義の限界や崩壊が際立ってきている。

分断と格差の解消をバイデン政権に期待したいが、残念ながら難しそうだ。コロナ禍もあって、世界はカオス(混沌)の状態である。テロが頻発し、社会不安が増す方向にいくだろう。カオスの世界を抑え込むのは力しかないと、独裁国家がますます増えそうだ。ただ、悲観的になればきりがない。幾多の困難を乗り越えて、何千年も生きてきた人類の叡知に、わらにもすがるような気持ちで期待しよう。物事を楽天的に見ながら生きていくしかない、と自分に言い聞かせている毎日だ。

【午睡/2020.11.20】


▲ページトップ back

Copyright(C)2005 KOBUNKAN.All rights Reserved.