廣文館廣文館

廣文館

店舗ごあんない
本を探す【e-hon】
本を注文するには
お買い得の本
ひろしまの本

HON-TOカード
コラム・ブックレビュー
スタッフ募集
お役立ちリンク集
会社概要
IR情報
HOME


株式会社 廣文館
〒730-0035
広島市中区本通り1-11
TEL:082-248-2391 
FAX:082-248-2393
E-mail:info@kobunkan.com
コラム・ブックレビュー
広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

《やぎさん答弁》

この欄で「ご飯論法」を紹介したことがある。政治家や官僚の分かりにくい論点ずらし答弁のことである。このご飯論法を世に広めた上西充子法政大教授が、国会の菅義偉首相の答弁は質問を読まずに食べちゃった「やぎさんゆうびん」みたいだとして、「やぎさん答弁」と名付けた。

「♪白やぎさんから お手紙ついた 黒やぎさんたら 読まずに食べた…」 まど・みちお作詞、團伊玖磨作曲の童謡「やぎさんゆうびん」の一節である。菅首相は官房長官時代に、質問に対して「ご指摘には当たらない」「承知していない」の定番のフレーズで切り抜けてきた。首相になっても、日本学術会議の任命問題では「人事のことだから」ではぐらかしてきた。今回、国会答弁で野党の質問には正面から答えず、筋違いの答弁を何回も繰り返したことが話題になった。首相の答弁が、質問を読まずに食べちゃった「やぎさんゆうびん」みたいだということである。

国会の予算委員会で、立憲民主党の山井議員の質問と首相の答弁。
Q ステージ3の(コロナ)感染急増、あるいはステージ4の感染爆発の状況でも東京五輪は開催されるのか?  A 感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにするとともに、国民の健康と命を守っていく」
Q 開催するのか、しないのか?  A 国民の健康と命を守っていく

その後、違う角度から質問しても、「国民の健康と命を守っていく」を壊れたレコードのごとく、17回も繰り返すばかり。国民をバカにした、不誠実きわまる答弁である。国民の健康と命を守る、と言いながら、選挙に勝つためにオリンピックで盛り上げたいのだろう、という考えが透けて見える。

過去のことをずっと追及していると、世の中の関心が薄れていき、次々と新たな問題が起きるので、世論も「もういいんじゃないか」という雰囲気になる。そうなるのを見越して「やぎさん答弁」を繰り返しているのだろう。 コロナ禍で国会中継を見る人が増えているそうだ。私もその一人だが、首相の答弁には「一国のリーダーとして恥ずかしくないのか」と言いたい。そして、政治家を選んだのは私たち国民なのだ、といつもながら自省する。 

【午睡/2021.6.22】


▲ページトップ back

Copyright(C)2005 KOBUNKAN.All rights Reserved.