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広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

《聞く力》

9年近い安倍・ 菅政権が終わり、岸田政権が誕生した。そして、間髪を入れず任期満了による衆院解散、10月19日公示、31投票の総選挙に。岸田新政権への国民の審判がどう下るのか興味深い。

岸田文雄首相は地元の広島1区選出とあって、広島県民としてはしっかり頑張ってほしいという気持ちだ。会って話もしたことがあるが、「気さくで人柄が良い」と多くの人が認めるのも納得できる。ただ、人が良いからといって、政治家として良いかどうかは別問題である。

安倍・菅政権時代は、質問してもまともに答えず、情報隠蔽や公文書の破棄といった「聞く耳を持たない」強権的な政治がまかり通った。これに対し、し岸田首相は「聞く力」を売りにしている。確かに、自分を押し出すより聞き役に徹している姿の方が似合う。だが、新政権の組閣では総裁選でお世話になった安倍晋三、麻生太郎両氏の意向ばかり聞いているのではないか、という感じが否めなかった。聞く耳の方向が違うのではないかと。

キングメーカーとして影響力を残そうとしている安倍晋三、麻生太郎両氏には、とっとと消えてもらいたい。あなたがたが政治腐敗の根源だ、と言いたい。この2人から決別しない限り、岸田政権の未来はないと思う。ただ、そこまでの決断力と胆力が岸田首相にあるのかどうか…。

「核兵器禁止条約」が1917年、国連加盟国の6割を超える122カ国の賛成で採択された。核兵器廃絶に向けて明確な決意が示されたのである。ところが、唯一の被爆国である日本は不参加のまま。「アメリカの核の傘に守られている」というのがその大きな理由だろう。

最近の世論調査では、日本の条約参加を求める人が約7割に達している。この国民の声に岸田首相は「聞く力」を発揮してほしい。「核兵器廃絶」の重要さを日頃から公言している被爆地選出の岸田首相でなければできない、と思うのは私だけではないだろう。

【午睡/2021.10.18】


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