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株式会社 廣文館
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コラム・ブックレビュー
広島在住のコラムニストによる “社会時評”コーナー! 月1回のペースで「読むことの楽しさ」をお届けします。

《ウクライナ侵攻と台湾》

ロシアがウクライナに侵攻して5カ月を過ぎた。いまだに停戦の見通しは立たず、不要な戦争で多くの人々が命を落としている。破壊されたウクライナの市街地の映像を見るたびに、心が痛くなる。“プーチンのの暴走”を誰も止めることができないまま、ウクライナから脱出した人々は900万人のものぼる。

このロシア侵攻のほかに、3年に及ぶコロナ禍は収束どころか拡大している。地球温暖化による熱波襲来や水害、干ばつなど、気候変動の被害も増大している。人類は力を合わせて疫病や地球温暖化対策に向かうべきなのに、戦争や紛争を繰り返しているのだ。

ウクライナ侵攻によって、より心配になったのは台湾に対する中国の姿勢である。習近平国家主席は秋ごろの第20回共産党大会で党総書記続投を狙い、「台湾の武力統一」をちらつかせている。習総書記とロシアのプーチン大統領の果てしない権力欲には、反吐が出そうになってしまう。

今年は英国から香港が返還されて25年になる。中国は返還から「50年不変」と香港に高度の自由を約束した「一国二制度」を形骸化し、民主化や言論活動への締め付けを強化した。ところが、習氏は「一国二制度は成功」と正当化する。「厚顔無恥」と言わざるを得ないが、いくら言っても「カエルの面にしょん弁」だろう。

実は、私の娘と3人の孫が台湾に住んでいる。最近の中国の動静には、いささか不安だ。今すぐに事が起きるとは考えられないが、ウクライナだってプーチンが軍事侵攻するなんて、ほとんどの人が予想できなかった。独裁者は想定外のことをやってしまうのでは、と危惧している。

「中国が台湾に軍事侵攻しようになったら、すぐ日本に帰ってきなさい」と娘たちにラインで話した。ちょっと前なら冗談だが、今の中国政府を見ていると冗談で済みそうにないのが怖い。 とにかく、そうならないよう願うばかりである。

【午睡/2022.7.31】


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