岸田政権が発足してから1年4か月経った。どうも評価は芳しくない。一言でいえば、「パッとしない」ということか。物価は高くなる一方で、電気代の高騰もあり低所得者の生活は苦しくなる一方だ。各報道機関の調査によると、内閣支持率は30%前後まで下がり、逆に不支持率は50%近くまで上がっている。
閣僚が失言や不始末で相次ぐ辞任、さらに今度は秘書官が性的少数者への差別発言で辞任する事態に。キャッチフレーズの「聞く力」は、どうも自民党保守派への配慮に偏っているようだ。
今国会の施政方針演説では、最重要課題の一つとして「従来とは次元の異なる少子化対策」を掲げた。だが、「児童手当引き上げなどを含む子ども・子育て予算倍増」がどうして異次元なのか理解に苦しむ。この言葉そのものが、黒田日銀総裁の「異次元の規制緩和」をパクったもので、実態が伴っていない。
少子化担当大臣を2007年に設けながら、これまで効果はほとんど出ていない。子育てが十分できる社会をどうやって作るのか、政府は分かっていないようだ。一つ例に挙げると、非正規労働者は40%を超える。不安定な経済状態では、結婚して子どもを育てようということにならない、というは当たり前ではないか。歴代政府の少子化対策は、しょせん「口先だけ」と言わざるを得ない。
国会質疑を聞いていると、岸田首相は真しに答弁しているように見受ける。しかし、それは最初のうちだけで、丁寧だけどリーダーシップに欠ける頼りなさがだんだんと目立つようになった。そして、一番気になるのは、「岸田政権はいったい何がしたいのか」が見えない点だ。そもそも、経済政策の「新しい資本主義」は、何を意味するのか分かりにくい。
広島1区選出の首相と会って、地元民としては応援したいと思う。しかし、核兵器禁止条約に唯一の被爆国である日本が不参加、ということだけでも政治家・岸田氏の資質が問われる。「本当の異次元政策」でも実行しない限り、5月の広島サミット後に退陣、が現実味を帯びてくるのではないか。
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