ロシアのウクライナ侵攻は1年半を超え、長期化している。このほかにも、世界各地で紛争が続き、核戦争の危機さえ叫ばれる混沌とした情勢になっている。こんな時代に家族が海外にいると、不安に思うことが多い。私は娘家族が台湾に住んでいるので、独裁色を強めた習近平体制を考えると、台湾が香港のようになった時はどうしようか、と気をもんでいる。
その娘家族の孫娘(小学5年生)がこの春、台湾から留学してきた。中国語による授業を受けていたので、慣れるのに苦労している。台湾は漢字ばかりで、それも旧漢字を使っている。例えば、日本では「台湾」という字だが、向こうでは「臺灣」になる。ひらがな、カタカナ、音読み、訓読み、送り仮名など覚えることも多いが、「日本の漢字は簡単」と言ったのには笑ってしまった。
姉、弟の3人兄弟の次女。3歳時に1年ほど日本で預かっていたことが、小学校の途中で「日本に行ってみよう」と決断した背景にあるようだ。「三つ子の魂百まで」ということわざがあるが、まさにその通りである。
老夫婦2人暮らしから、11歳の娘が加わって、ジジババとしてはうれしいばかりだが、面倒を見るのはなかなか大変だ。食べ物一つとってみても、食生活が違っていたので孫の食事づくりに妻は苦労している。救いは「納豆と刺身が好き」ということである。
仲のいい姉弟と父母から離れて、ホームシックになるのではという心配は今のところない。ラインで毎日のように顔を見ながら話ができるからだ。便利な世の中になったものである。台湾人の父親とは中国語、母親とは日本語で話す。中国語と日本語が自由に飛び交い、これが「バイリンガルか」と感心する。
ただ、不安材料は友達関係である。学年が一クラスしかない小規模校で、児童は小さいころからの知り合いばかり。その中に入り込むのがなかなか難しいようだ。時には意地の悪い子に無視されたりして、泣いていることもある。多感な時期である。ジジババではどうにもできないこともあって、孫育ては一筋縄ではいかない。
このまま、中学校に進んで、高校や大学までいるのかどうか。1年で台湾に帰ってしまうのか、先は見えない。老夫婦がいつまで元気でおれるか、という問題もある。老体にむち打ちながらではあるが、孫との暮らしは充実している。それにしても、孫とは可愛いものである。
|