プロ野球ペナントレースもいよいよ大詰めだ。セ・リーグは阪神、パ・リーグはオリックスが独走。阪神が9月14日、28年ぶりの優勝を決めた。広島カープファンの私にとっては、現在の2位を何とかキープして、クライマックスシリーズで頑張ってもらいたいと、テレビ中継にかじりついている。
ペナントレースが始まる前の順位予想では、多くの野球評論家がカープをBクラスにしていた。不動の4番として活躍した鈴木誠也選手は大リーグへ行き、大砲のいない打線。抑えの栗林投手が故障上がり、森下投手は手術明け。絶対的なエース投手もいない、コーチ経験もない新井新監督の手腕も未知数。戦力的に見ても、優勝を狙える力がないと見るのが妥当だと思った。
だが、新井カープは予想以上に奮闘している。4番の西川選手が故障したうえ、菊池、秋山、上本選手と主力メンバーの相次ぐ故障離脱もありながら、一時は阪神と優勝を争うこともあった。その一番の理由は、新井監督のチーム作りだろう。
試合があった翌日、中国新聞のスポーツ欄に載っている「新井語録」を毎回楽しみに読んでいる。
とりわけ負けた時のコメントに注目している。「○○投手は良く投げた」「いつもいい時ばかりではない。次にがんばってほしい」「私も致命的なミスを何度もした」…。決して選手を非難することはない。むしろ、選手をかばったり、激励したりするコメントが多いのである。素晴らしい。新井監督に最大限の賛辞を贈りたい。
こんなコメントを翌日の新聞で読んで、選手たちは「この監督のために頑張ろう」と思うのは当然だろう。私自身、このコメントに心が温かくなっている。今年のカープは、これまでになく明るく、粘り強い。新井監督の明るいキャラに、選手の気持ちをしっかり受け止める姿勢が、チームを一丸にしているのは間違いない。
新井監督が誕生した時、私は「コーチ経験を積んで監督をした方がいいのでは。新井監督の先輩で、現在は球団アドザイバーの黒田博樹氏が先ではないか」とも思った。しかし、現在の新井カープを見ていると、まさに杞憂だったと反省している。
カープと対照的に、失敗した選手を名指しで非難したり、上から目線で押さえつけたりして、チームがばらばらになっている球団もある。監督というリーダーの存在がいかに重要かということを、改めて考えさせられた。ただ、勝ち負けがはっきりしているスポーツの世界は、いい時ばかりではない。チームが低迷すると、いろんな問題が噴出して、本当の真価が問われる時がくるだろう。新井監督なら、それを乗り越えると思う。
新井カープを応援している。フレー、フレー、カープ!
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